こども食堂の支援を通じて、誰もとりこぼさない社会の実現を目指して活動する「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)」(東京都渋谷区、理事長:湯浅誠)は2023年12月14日(木)に、2023年度 こども食堂全国箇所数調査(速報値)発表会を開催しました。第一部の記者発表は東京会場とオンラインにて、第二部の一般向けの発表会はオンラインで開催し、計150名近い方にご参加いただきました。
全国各地でこども食堂を支える地域ネットワーク団体等の協力を得て行われた2023年度の調査では、全国のこども食堂が昨年度から1,768箇所増え、「9,131箇所」となり、全国の公立中学校と義務教育学校の数を合わせた9,296箇所※1とほぼ並ぶ結果となりました。2018年度の調査開始以降において、最も多い増加数になります。
調査結果は以下をご覧ください。
https://musubie.org/news/7995/
※1 文部科学省「令和5年度学校基本調査(速報値)」より
第1部: 記者発表会
記者発表では、むすびえ理事長の湯浅誠と、各地でこども食堂の活動を支援している地域ネットワーク団体から、ふくしまこども⾷堂ネットワーク 江川和弥さん(NPO 法⼈寺⼦屋⽅丈舎)、しまね⼦ども⾷堂ネットワーク 中道由美⼦さん(島根県社会福祉協議会) 、⼦ども⾷堂サポートセンターいばらき 伊東輝実さん(認定 NPO 法⼈ 茨城 NPO センター・ コモンズ)の3人が登壇。それぞれの現場での実例を力強く伝え、東京会場に加えてオンラインで参加した全国各地の報道機関の記者と、活発な質疑応答が交わされました。
冒頭、湯浅は「多くのこども食堂は多世代交流拠点です。『こどもまんなか』を実現するとともに、『みんなまんなか』へと地域・社会が進んでいくことを後押ししています」と説明。
記者から「みんなまんなか」の実感・体感について問われた江川さんは、「『子どもを中心に考えよう』と言うと、ボランティアをする高齢者も、参加するお母さんもみんなが楽しいというのが、こども食堂のよいところです。その結果として、多様な地域のコミュニティが生まれています」と力説しました。
中道さんは、あるこども食堂でお皿を洗っていた男性に声をかけたところ、その男性は単身赴任中だったとのエピソードを紹介。「その方は、にぎやかで楽しそうな場所を見つけて自分から進んでボランティアに来られたそうで、『仕事とかかわりのない人たちと触れ合ってリフレッシュし、また仕事に向かっている』と教えてくれました」と笑顔で話しました。
伊東さんは、外国をルーツとする子どもが来るこども食堂が、その国の言語を使ったチラシを作成しているとの取り組みを挙げ、「子どもや保護者、地域の人みんなが協力してできているのがこども食堂なのだと感じます」といいます。ラーメン屋やスポーツバーの店主、大学生や高校生がこども食堂に関心を示すなど、担い手の多様化も実感しているそうです。
第2部:オンライン発表会(一般向け)
続いて開かれた一般の方向けのオンライン発表会には、全国のさまざまな地域から、こども食堂の運営者や、支援してくださっている企業や個人の皆さま、行政関係者ら約120人がご参加くださいました。発表会は、全国各地のどこから参加しているのかメッセージを送り合うなど、あたたかな雰囲気で始まりました。
湯浅からオンライン発表会に参加された皆さまに向けて、今回の調査で9,000箇所を超えるこども食堂が確認されたこと、また年間延べ参加人数は推計1,584 万人で、そのうち子どもは推計1,091 万人であると報告。すると、鹿児島県の地域ネットワーク団体の方から「こども食堂が9,000箇所を超えたと伺い、それだけの仲間やその周りに支援者がいることがとても感慨深いし、延べ1,091万人の子どもに届いていることがとても勇気になると思いました」とのメッセージが届き、そのメッセージに対しても多くの共感を集まっていました。
年末のお忙しいところご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました!