2023年度 休眠預金事業(活動支援団体枠) こども食堂ネットワーク団体基盤強化への伴走支援プログラムと持続的な「学びあいプラットフォーム」構築支援事業採択結果につきまして、以下の通り発表いたします。
本事業の公募に対し、8団体からご応募いただきました。
「活動支援団体枠」はむすびえとしても初の試みとなる中、高い関心をお寄せくださり、そして思いのこもった応募書類を作成していただき、誠にありがとうございました。
日々の活動の中から感じられた地域の課題の解決に向けて、今後さらなる取り組みをしていこうとされている皆さまの姿勢に、審査委員・事務局ともども大変感銘を受けました。
ご応募いただきました皆さまに、心より感謝申し上げます。
★休眠預金の選考を終えて
審査委員長からのメッセージ ※2025年2月18日更新
この度は、2023年度 休眠預金事業「こども食堂ネットワーク団体基盤強化への伴走支援プログラムと持続的な『学びあいプラットフォーム』構築支援事業」に全国から多くのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
今回も、熱意ある素晴らしい団体の皆さまからの応募があり、審査委員一同、慎重に議論を重ねながら審査基準に基づき採択団体を決定いたしました。実際にズーム越しでも顔を合わせ、お話を聞くと、本当にどの団体の皆様もすばらしく、いつも採択は悩ましいものです。書類の準備やプレゼンテーションの実施、さらには追加の質問対応や書類修正など、多くの時間と労力をかけてくださったすべての団体の皆さまに心より感謝申し上げます。
本事業は、こども食堂のネットワーク団体の基盤を強化し、持続的な学びと成長を支えるプラットフォームを構築することを目的としています。全国のこども食堂は、地域のつながりを育み、子どもたちや家庭に安心できる居場所を提供する大切な役割を担っています。しかし、その運営には安定した基盤と継続的な学びの機会が不可欠です。今回の助成事業では、その基盤をより強固なものにし、各団体が長期的に活動を継続できるよう支援していきます。
採択された団体の皆さまには、これから3年間、むすびえと共に歩みを進めていただきます。資金だけでなく、ネットワークや知見の共有を通じて、より持続可能なこども食堂のネットワークを築くことが求められます。これは容易な道のりではありませんが、皆さまの努力が地域社会に大きな影響を与えることを信じています。
また、今回は惜しくも採択に至らなかった団体の皆さまも、その熱意と取り組みの素晴らしさに変わりはありません。地域の居場所を支えたいという皆さまの思いは、全国に広がる確かな力となっています。ぜひ今後も学び合いの機会を活用し、さらなる発展を遂げていただければと思います。
最後に、休眠預金事業は単なる助成金ではなく、未来への投資です。考えればお金は社会の血液のようなものです。それがうまく回っていかないところは滞り、冷えていく。社会の隅々にまで、お金という血液をうまく循環させる仕組みのひとつが休眠預金事業です。引き続き、採択団体が確実に成長し、地域にインパクトを生み出せるよう、皆さまのご尽力をお願いいたします。
改めまして、ご応募いただいたすべての皆さまに感謝を申し上げるとともに、採択団体の皆さまの今後のご活躍を心より応援しております。
白河桃子
相模女子大学大学院特任教授、昭和女子大学客員教授 東京大学 大学院情報学環客員研究員、ジャーナリスト、作家
審査委員からのメッセージ
『地域に根を張るこども食堂が育つには』
市域でつながるこども食堂。
市町村域を越えてつながる広い地域のこども食堂。
県域でつながるこども食堂。
この事業は、共に活動を学び合い、支え合い、幸せの輪を広げるためのプラットフォームを生み出していくことを目指しています。
各地域にある、新たに生まれる、こども食堂の姿は、地域の人や寄付、食べ物だけではなく、温かなつながりや体験、思い出などが循環=つながり合う姿です。
「一つのこども食堂から始まる地域のネットワークはどんな法人格をめざすのか。」
「基盤は大丈夫か。」
「家業をしながら活動エリアを広げることができるか。」
「事業承継は可能なのか。」
「運営者の意識が多くのボランティアスタッフと共有できるのか。」
「行政、社協等中間支援との関係性は?」
「信頼性への言及は。」
「利益相反の心配」
「政策提言は。」
こども食堂の連携、交流、ネットワークづくりへの強い決意、思いと“可能性”を天秤にかける、しんどい審査でした。
今回選定された団体が、こども食堂という居場所の価値を信じ、つながり、学び合うことで、地域に幸せを生み出していく要となることを期待しています。
高橋潤
公益財団法人長野県みらい基金 理事長
今回、「こども食堂ネットワーク団体基盤強化への伴走支援プログラムと持続的な「学びあいプラットフォーム」構築支援事業」に対し、各地から大変意欲的な提案をいただきました。採択枠に限りがあることに加え、事業目的に沿った活動を採択する観点から、審査員同士で真剣に話し合い、採択団体を選ばせていただきましたが、どの団体からの提案も地域のネットワークづくりに向けた熱意に溢れるものばかりでした。改めて、すべての関係者の皆さんに感謝いたします。
さて、子ども食堂に限ったことではありませんが、地域では多様な活動が展開されています。それぞれの思いで始められた活動ですが、地域で活動する他の主体と出会い、かかわりを深め、学び合う中で、活動の広さや深さが変化し、横のつながりが広がっていくダイナミズムが生まれています。地域のネットワークづくりというのは、このような地域の活動同士の出会いと学びを通じた化学反応を起こすコミュニケーションのハブをつくっていくことだと考えます。
今回の事業は、そうした地域のネットワーク団体の役割・機能強化を、伴走支援を通じてサポートすることを目的としています。今回の採択団体の皆さんには、本事業を実施する中で、地域になくてはならないハブとなるだけでなく、将来的には休眠預金等活用事業の実行団体が地域の中に増えていくという好循環を生み出していただくことを期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。
野﨑伸一
アミタホールディングス株式会社 執行役員/(一社)エコシステム社会機構 事務局長(厚生労働省から出向中)
今回、こども食堂ネットワーク団体基盤強化の支援先の選定に参加させていただき、各地でこども食堂が広がっており、そのネットワークの重要性も高まっていることを実感することができた。今回の審査を通して強く感じた2つの課題を紹介したい。
一つは、こども食堂の数が増え、担い手の立場や考え方も多様化している中で、どのように「大切にしたいこと」を共有していけるか、が問われているということだ。こども食堂の初期の担い手は、こどもの問題やコミュニティ、ボランティアなどに関心も経験もある人が中心だった。もちろん当初から活動の多様さはあったが、ベースにあることの共有度は高かったと考えられる。それが、こども食堂がどんどん広がった今では、活動も関わる人も目的や経験、動き方がより多様になっている。「多様さ」のステージが以前より上がったと言えるだろう。大きく広がるとは、初期の仲間内では共有できていた“当たり前”が共有しづらくなることを意味する。そのため、地域のこども食堂のネットワークも、「似た感覚の人が集まるつながり」を超えて、「異なる目的や価値観の人がコミュニケーションしながら、“大切にしたいこと”を分かち合えるつながり」へとステップアップすることが求められているだろう。
もう一点は、ネットワーク推進者にはプレイヤーとコーディネーターの両方の側面が求められていることだ。こども食堂のネットワークの担い手には、自分自身がこども食堂を運営するプレイヤーであったが、関わる人や団体とのつながりが増える中でネットワークの核(コーディネーター役)になっていった人も多い。ネットワークの担い手に自分自身の活動経験があることは大いに強みであるが、プレイヤーの意識のまま動いてしまうと、「自分が責任持ってしなきゃ」「自分が仕切らなきゃ」と考えてしまい、自分が抱え込んでしまったり、誰が仕切るのかという対立が生まれたりしがちだ。自分自身の活動でのプレイヤーとしての動き方と、コーディネーターとして他の人を活かしていく動き方では異なる視点やスキルが必要となる。ネットワーク団体に求められるコーディネーター機能を自覚し、そこを磨くことがネットワーク活性化には不可欠だ。
全国に広くこども食堂が広がり、活性化するには、地域に根付いたネットワークが不可欠だ。この事業をきっかけにネットワーク団体のレベルアップが加速することを期待したい。
広石拓司
株式会社エンパブリック代表
むすびえ 伴走力向上ディレクターからのメッセージ
まずは申請をいただいた皆さま、申請検討時にご相談をいただいた皆さま、貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました。各地域での取り組みを教示いただき、私たち自身も学ばせていただいたとともに、新たなつながりのきっかけにもなったと感じています。改めて感謝申し上げます。
今回採択された支援対象団体の皆さまとは、これから約2年強ご一緒する形になりますが、活動支援団体という仕組み自体が新しい取り組みで、これまでとは違い非資金的な支援に限定されるということもあり、より深く活動をご一緒させていただけるものと考えております。
それぞれにおかれている状況や取り巻く環境はさまざまであり、ありたい姿や抱えている課題もそれぞれだと思います。その中で関わる人たちと対話をしながら事業、組織、地域づくりをともに苦悩も含めて担わせていただけることをとても楽しみにしています。
またこうやって向き合っていく一つひとつの事象は他の地域で活動する方々の参考になるものであるとも考えており、地域をこえた活動や仲間を生み出していくと信じています。これからの協働、どうぞよろしくお願いいたします。
中谷純
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 伴走力向上ディレクター
事務局より
「こども食堂」が全国10,866箇所に到達、地域の居場所として本当に多くの価値が生み出される中、こども食堂を地域で支えるネットワークの存在感が年々高まり、特に圏域単位、市区町村単位での地域ネットワーク団体が急速に立ち上がりつつある状況です。そしてむすびえとして、資金的な助成ももちろん重要ながら、ソーシャルセクターの担い手の育成の観点で、伴走やノウハウ提供といった非資金的支援の在り方について内部での対話がなされていました。そしてこの度、休眠預金事業として新たな試みとなる「活動支援団体枠」での募集に至りました。
これまでの休眠事業と異なり非資金的支援である事から抽象度が高く、未知数な点も多い中、興味を持ちご応募してくださった皆さまに、心より御礼申し上げます。採択に至らなかった皆さまには、応募申請に向けて大変な作業を行っていただいたにもかかわらずご期待に沿えずに申し訳ございません。すべての応募の期待にこたえたいと思いつつ、審査委員会で検討を重ね、断腸の思いで選考いたしました。申請書類を通じて事務局も多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。
今回の審査では活動支援団体として、以下の点を特に重要な選考ポイントとして検討して参りました。
- 事業の妥当性(団体がとらえている課題について、問題構造の把握が十分に行われているか、また、課題解決と担い手育成に対して事業計画(課題の設定、目的、事業内容)が妥当であるか)
- 実行可能性(業務実施体制や計画が適切か)
- 継続性(非資金的支援による効果や仕組みが、支援終了後も継続することが見込まれるか)
- 波及効果(事業から得られた学びが組織や地域、分野を超えて社会課題の解決につながることが期待できるか)
- 連携と対話(多様な関係者との協働、事業の準備段階から終了後までの体系的な対話が想定されているか)
上記選考ポイントなどについて、今後のご参考にしていただけると幸いです。
採択団体一覧(※五十音順)
- 特定非営利活動法人あいあう
(https://aiausyokudou.blogspot.com/) - 観音寺市子ども食堂ネットワーク
(https://community-ouen.sakura.ne.jp/kodomosyokudou.sakura.ne.jp/) - こどもまんなか居場所ネットワーク
- ひのみんなの食堂ネットワーク
- やちよ子どもネットワーク
(https://allyachiyokids.com/)
本件に関するお問い合わせは以下までお願いいたします。
事務局
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
2023年度休眠預金事業・活動支援団体事務局
Email: kyumin2023-katsudo@musubie.org