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【ご報告】内閣官房「地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査」―こども食堂での文化プログラム体験を通じた多世代間の交流促進事業―

内閣官房「地域における孤独・孤立対策に関する NPO 等の取組モデル調査」に認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)が提案した「こども食堂での文化プログラム体験を通じた多世代間の交流促進事業」が採択され、事業を実施しました。以下、そのご報告です。

【事業名】

「こども食堂での文化プログラム体験を通じた多世代間の交流促進事業」

【事業概要】

少子高齢化、コミュニティの弱体化、町村合併により地域の支え合い力が低下、子どもや子育て世帯、高齢者の孤立等が進んでおり、こういった状況は、福井県坂井市でも課題となっている。坂井市内のこども食堂において、絵手紙教室や昔遊び等を実施し、地域住民に出番をつくるとともに、これまで関わりがあまりなかった新興住宅と旧村部等との繋がりの機会とし、地域の人と人との「ゆるやかな」つながりを築けるような場づくりを行う。

【実施団体】

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(本事業受託団体)
社会福祉法人坂井市社会福祉協議会(連携団体)
こども食堂・まちづくり協議会(連携団体)
認定NPO法人芸術と遊び創造協会(連携団体)

【課題と事業内容・狙い】

坂井市は4つの地区が合併し、現在は約9万人の人口規模であるが、新興住宅地と旧村部、旧地域住民同士の知り合う機会が少ない等、地域住民のつながりの希薄さ、孤立化が課題となっている。

本事業では、当団体と分野を超えた居場所の包括連携事業を協働している坂井市社会福祉協議会との連携において市内のこども食堂を拠点に、地域活動者や自治会、民生委員、まちづくり協議会等との協働を促進し、絵手紙教室や昔あそびなどの文化プログラム体験の提供を行う。また、主たる拠点となるこども食堂は、元社会福祉協議会職員/民生委員が運営する食堂のため、課題を抱える人の早期発見の視点も持ち合わせており、地域特性や実情も踏まえてそれを可能とするポテンシャルがあるだけでなく、近隣には学校、学童、コミュニティセンターが隣接するエリアで、文化プログラム体験をイベント的に実施することで、地域住民への発信・告知を強化することができる。加えて、地域住民の出番や関り合いを創出し、新たな住民とのつながりの機会も生み出す(孤独・孤立の予防)。また、絵手紙教室やけん玉やこま回し、お手玉などの昔あそび等のプログラムは表現したり工夫したりすることを楽しみながら、季節や文化への理解を深めるだけでなく、手や道具を使って遊ぶものが多く、多世代で一緒に取組みやすいため、「教えたり」「教わったり」「褒められたり」「手伝ってもらったり」「感性にふれたり」などの関わり合いとコミュニケーションがはかりやすいため、日常生活での困り事や身体能力等の低下に気づける機会にもなる(早期発見につながる)。
さらには、文化プログラムは、特別な資格等が不要で、地域の多様な主体が取組みやすく、参加や協働をすすめることで継続的な活動にしやすいため、日常生活における孤独・孤立の予防や早期対策につながる活動の持続性を高めやすい。そして、参加者と地域とのつながりや変化等に関する定量的な調査を実施し、全国的な調査等と比較し考察することで、より多くのこども食堂や地域の居場所づくりを促し、運営にも役立てていくことを目指し、本事業の波及効果も狙う。

【評価結果まとめ】

文化プログラムの実施が新規の参加者獲得と複数回参加者(リピーター)獲得に寄与していることがうかがえる。(アウトカム①)また、運営者ヒアリングからも参加者が通常のこども食堂より2割程度多く、また年代も多様になったことが確認できた。(アウトカム①、⑤)
文化プログラムの実施は居場所への参加の継続率向上に寄与しているといえる。(アウトカム①)
こども食堂及び文化プログラムの実施は地域住民同士のつながりの増加に寄与しているといえる。(アウトカム③)
文化プログラムの実施は参加者の行動のポジティブな変化(笑顔を見せる、運営者などに感謝の気持ちを伝える、参加者同士の会話の増加)に寄与しているといえる。(アウトカム⑥)
担い手に関しては、こども食堂ボランティアの数に変化はなかったが(アウトカム②)、文化プログラムの提供に関して新たに東京おもちゃ美術館との連携がスタートし、おもちゃ学芸員が新たな担い手として参加した。(アウトカム④)
文化プログラム(おもちゃ遊び)をしながらゆっくり話す時間ができることで、参加者の様々な状況へ気づく可能性が高まること示唆された。しかし、食事提供後に文化プログラム体験に参加できずに帰るボランティアも多くいることから、困りごとの相談や早期対策につながる事例は今回の調査期間中は確認できなかった。(アウトカム⑦、⑧、⑩)

以上より、本事業の最終アウトカムである「 孤独・孤立の予防」「早期対策」「地域社会のつながり・支え合い機能の向上」のような成果は事業期間が短いなどの制約要因があり確認できなかったが、それらのアウトカムにつながる変化(成果)が直接アウトカムを中心に確認された。したがって、文化プログラムをこども食堂に組み入れることで、将来的に上記最終アウトカムの発現が期待できる。

留意点

参加者アンケートの回収率が高くない回もあるため、結果に偏りが出ている可能性がある点に留意する。

*本調査は、NPO 等が主体となった日常生活における孤独・孤立の予防や早期対応につながる取組の普及を目指す取り組みです。

詳細についてはこちらをご覧ください。
報告PDFリンク

採択について

https://musubie.org/news/6988/

 

【実施報告会】

「こども基本法」施行を記念し開催された坂井市社会福祉協議会主催「こどもの権利を考える ふくしえいが会&活動報告会(第二弾)」 にて、本事業の報告をさせていただきました。
報告会では、実際に事業を実施いただいた大関居場所づくり〜みんないっしょに〜代表の虎尾さんと、本事業担当者のむすびえ理事の三島からの活動紹介/報告に加えて、トークセッションにて、坂井市の皆さんとともに事業内容の振り返りを行いました。

当日は、行政関係者、社協、地域福祉団体、これからこども食堂をしたいと考える坂井市民の皆さんがお集まりくださり、「ボランティアや地域の団体との連携」や「活動の工夫」などについて質疑応答も活発に行われました。

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