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【事例紹介】「SOMPO流 子ども食堂」で助け合いが当たり前になる地域づくりを 〜そんぽの家S西糀谷〜

―― プロジェクトの概要

新社長が就任して100日目の2022年7月、全社一丸となって新たに取り組む新施策『SOMPOケア 未来へのチャレンジ』を発表したSOMPOケア株式会社。その中のひとつ、職員の働きがい向上を目指す施策として掲げられた「SOMPO流 子ども食堂」の実施は、現在全国に約450あるSOMPOケアの施設でそれぞれに展開されています。

多世代交流を通じたご入居者さまの活力向上、地域交流の場を作る、子どもに向けた就業体験の機会の提供など、子ども食堂を実施する目的は同じですが、地域の特性や働く職員の想いなどによって、施設ごとに特色あるイベントが行われています。今回ご紹介するのは、東京都大田区にある「そんぽの家S西糀谷」です。2023年1月から毎月1回のペースで開催してきた子ども食堂と併せて、シンガポール航空とのコラボ、地元のケーキ屋さんと協力したお誕生日会など、ユニークなイベントを次々に行っています。施設に伺った当日は、子どもたちが寿司職人から握り方を教わる体験イベントが行われていました。シャリの握り方や、軍艦に海苔を巻く方法をプロに教えてもらった子どもたちの様子は真剣そのもの。終了後、自分で握ったお寿司を前に「ひとりで食べるの、もったいない!」「もっと作りたい!」という声があがっていました。ご入居者さまも子どもたちの賑やかな姿に目を細めながら「元気な子どもたちと一緒にお寿司を食べるのもいいわね」と楽しそうに箸を進めていました。

子ども食堂を通してさまざまな体験を子どもたちに提供している、「そんぽの家S西糀谷」。ホーム長の藤島資憲さんに、子ども食堂開催に込める想いについて伺いました。

―― 支援するにあたって心がけていることを教えてください。

「そんぽの家S西糀谷」の施設で子ども食堂を開催するにあたって大切にしていることが二つあります。一つは、来てくれる子どもたちとご入居者さまの双方が楽しめる取り組みをして、皆が笑顔になっていただくこと。もう一つは施設の中だけではなく、地域の人たちを巻き込んで地域全体で盛り上げていくということです。手探りでスタートした子ども食堂でしたが、開催する際は、ぜひこの二つを掛け合わせたイベントを提供したいという想いがありました。

はじめは車いすを押したり、食事の配膳をしたりといった、介護職を体験してもらう就業体験から始めました。ただ、子どもたちに繰り返し足を運んでもらうには、新しいイベントが必要だとも感じ介護職以外の職業体験のイベントを思いつきました。子どもたちにさまざまな職業体験をして、興味を広げてほしいと考える親は多いと思いますが、体験の場が少なかったり、参加費がかかったりと、さまざまな職業を知る機会はあまりありません。そこで、子ども食堂で職業体験が無料でできる企画を立ち上げました。

印象に残っているのはシンガポール航空とコラボイベントです。子どもたちが飽きないように身体を動かす要素を取り入れてはどうかと、成田空港の航空博物館まで出向いて調べました。ちょうど紙飛行機を飛ばすイベントを開催しており、その中で紙飛行機の折り方や飛ばし方を伝授してもらった経験がこの企画に役立ちました。当日は、予想を上回る30名の子どもたちが参加。みんなで紙飛行機を飛ばしたり、実際にキャビンアテンダントの制服を着たり、シンガポールの国民食であるチキンライスを食べたりと、さまざまな体験を共有することができました。

また、自分自身も8歳の息子を育てる中で、休みの日には家族で出かけることが多く、地域交流が希薄になってきているのを肌で感じていました。自身で感じたことを活かそうと、子ども食堂のイベントを施設内だけで楽しむのではなく、地域交流の場にできないかと考えました。2023年6月に開催した第4回目の子ども食堂では、糀谷商店街のケーキ屋さんとコラボして地域のお誕生日会を行いました。自分の誕生日を家族以外の人に祝ってもらうという体験は、孤食問題の解消にもつながる可能性がありますし、商店街の広報にもなって地域の活性化を促進する一助になるのではと思っています。

何もないところからのイベントの創出は大変ですが、子どもたちの興味を知るという点や、参加してくれる子どもたちが喜んでもらう内容を考えるという意味でも、わが子や職員の子どもたちの存在はとても大きいものです。

―― 支援に対しての想いや、実際支援している中で感じていること、具体的なエピソードなどを教えてください。

2024年1月の開催で第10回目となりましたが、関わる人すべてに目に見える変化が表れています。

昨年の夏に、昔遊びのイベントを開催したときのことです。パーキンソン病を患っていたご入居者さまが、イベントを知り、自身のけん玉を探してきて練習を始めたのです。実はこのご入居者さまはもともとけん玉が特技だったそうで「自分にできることがあれば少しでも伝えたい」と言ってくださいました。子ども食堂を開催した当初から、大きな目標として「ご入居者さまの活力向上」を掲げていました。このご入所者さまの変化は、子ども食堂が生きがいにつながっている方もいらっしゃるのだと、実感した出来事でした。またご自分のお孫さんではなくても、子どもたちの元気な姿を見ると嬉しいと言ってくださるご入居者さまは多くいらっしゃいます。実際、ご入居者さまの退去率は子ども食堂を始めてから減少傾向にあります。

また、子ども食堂は施設で働く職員の気持ちにも良い影響を与えてくれています。イベントの中で、得意分野を生かして講師をしてもらうことでやる気の向上につながっています。職員の子どもに参加してもらい、仕事をする様子を見てもらうことで仕事にやりがいを見出したり、誇りを持てるようになったという職員が増えました。結果、当施設の離職率は減少しました。人の役に立ちたいと介護の仕事を選んでくれた職員が、理想とのギャップから離職することが多いことを心苦しく思っていましたが、子ども食堂の活動は確実に社員の働きがい向上につながっていると感じています。

子ども食堂に参加してくださる方々からも「家の近くでものづくりや職業体験などができるイベントを開催してもらえてありがたい」という声をいただいています。商店街のお店からもケーキ屋に続き、コラボのオファーをいただいています。

―― 今後子ども食堂やむすびえとどのようにかかわっていこうと考えていらっしゃいますか。

参加してくださる方も徐々に増え、子ども食堂の輪が広がってきているのを感じています。今後の課題は、育ててきた子ども食堂をいかに定着、継続させていくかになるでしょう。さらに多くの人に知ってもらうために、むすびえさんや地域の力も借りながら発信していくことが大切だと考えています。

子ども食堂の始まりと言われている大田区内には、SOMPOケアの施設が7カ所あります。現在は施設ごとで独自に子ども食堂を展開していますが、他施設とも連携をとり、大田区の全体的な取り組みにつなげていけたらと考えています。

この施設に着任したとき、大田区は町内会が盛んで、地域のつながりを大切にしている町だと感じました。世の中では地域との関係が減少傾向にあります。情報交換をしながら大田区全体が活性化し、子ども食堂をきっかけに助け合いが当たり前になる地域づくりをしていきたいと思っています。

シンガポール航空とのコラボイベントのようす

―― むすびえメンバーより

全国に約9,000か所あるこども食堂は多様で、規模や形態もさまざまです。しかし子どもたちや地域のために、という強い思いは共通して感じます。藤島ホーム長のお話からも、子どもたちを楽しませようとする熱い気持ちがあふれていました。
後日、参加したお子さんの保護者から届いたメールを共有していただいたので紹介します。
『先日は、ありがとうございました。日曜日、(お子さん名)がお寿司を握ってくれると言って、夕飯は(お子さん名)寿司でした。家族でお寿司パーティーをして、教えて頂いた握り方を思い出しながら頑張って握ってくれました!こどもがお寿司の体験をしてくれた事で、家族でとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。いつも色々な体験をさせて頂いて本当にありがたいです。』
これからもこうした思いのこども食堂が全国に広がるために、むすびえも尽力して参ります。
(広報・ファンドレイジング 山下)

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