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【開催レポート】こども食堂×防災×地域 in熊本県

私たち「むすびえ」では、地域ネットワーク団体を通じたこども食堂への支援の一つとして、防災についての取り組み「こども食堂防災拠点化プロジェクト」を行っています。この活動の一環として「こども食堂×防災×地域」をテーマに各地で防災研修を実施しております。今回は第12回目、熊本県北部地域です。

熊本県北部こども食堂ネットワーク主催で開催され、こども食堂運営者の方はもちろん、県庁・市役所、社会福祉協議会の職員のみなさまや、高校生や大学生など、地域の多様な方に参加いただきました。
研修の様子をレポートします。
「熊本地震は8年前の出来事です。まだ動いていない活断層もあると聞きます。万が一、災害が起きた時、やはり知識がないと動けない。知識があれば自分が助かることができるかもしれない。助けられる命もあるかもしれない。こういう活動を通して、知識を少しずつ自分達のものにしていきたい。そして、今度誰かに伝えていってほしい。」
と、熊本県北部こども食堂ネットワークの茶木谷与和さんの挨拶で始まりました。

「顔の見える関係づくり」が重要

防災において重要なことは?と考えると、装備や専門スキル、支援活動に目が行きがちですが、地域防災において重要なことは?と問いを少し変えると、答えも変わります。
誰もができること、みんなでできること=「顔の見える関係づくり」が重要であるというメッセージで講座がスタートしました。
講座は、地域防災をこども食堂に置き換えて、こども食堂と防災の共通点を中心に、こども食堂防災マニュアルの内容に沿った「知る・備える・行動する」についての説明で進みます。
そして、防災の最重要ポイントである「継続すること」の秘訣、無理をしない防災について、講師久保井はこのようなメッセージで締めくくりました。
防災を頑張ろうとすると、責任感に押しつぶされそうになったり、誰か一人の頑張りに依存した防災になりがちですが、これでは全員で防災に取り組めません。
「100%の1人より、30%の3人」
これが、多くの人が関わり継続する防災の秘訣ではないでしょうか。

練習するから本番でできる

参加者を大人役と子ども役の2手に分け、「もしもこども食堂開催中に火災が起きたら」という想定で訓練を行い、調理中に発災し、避難するところまで実施しました。
訓練後には、「最初にどれぐらい子どもがいるのか先に数えた方がいい」、「火事がどこで起きているのかをいうべきではないか」、「訓練の継続し、想像するが重要だ」など、さまざま意見が飛び交い、より充実した時間になりました。

伝えることの難しさと重要性

参加者を4チームにわけ、防災グッズの伝言ゲームを行いました。先頭の人から防災グッズの名前を隣の人に伝えていき、最後の人がその防災グッズの実物を持ってくるというルールです。
一見、簡単なゲームですが想像以上に難しく、伝達の途中で「懐中電灯」が「おにぎり」と伝達されたり、ネックライトがLEDになったりと、ゲームを通して情報伝達の難しさを学びました。

防災食を体験する

ローリングストック(非常食を日常的に食べ、定期的に買い足すこと)や、災害時の献立をつくるワークショップなどを行い、防災食についての理解を深めました。
実際に自分達で調理をし、いざ実食。
災害時の調理方法で有名なパッククッキングや、五目ごはんを伸ばしてピザの生地にするなど、一手間加えた料理が並びました。「防災食」と聞くと、カンパンや白い米という簡素な食事を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、今回はそのイメージを覆すものでした。
また、高齢者や幼児に多く見られますが、食べ慣れたものを好み、初めての食事は思いのほかストレスに感じます。防災食を普段の食事に取り入れながら体験し慣れることも防災の一つではないでしょうか。

参加者からの声(アンケートより抜粋)

  • 実際にやらないとわからないことがある。避難経路の確保をどうするのかなど、知っているつもりでも知らないことが結構ありました。
  • 防災食を通じてコミュニケーションが生まれていて、災害が起きた時も、食がすごく大事だなと思いました。食べることがコミュニケーションのツールになっていて、関係性構築の一歩だなと感じました。
  • 訓練をしたことで気づかない事や行動がわかりました。そして訓練を時々実施する必要を感じました。防災食もとても勉強になりました。ありがとうございました。
  • こども食堂が災害時にも地域の役に立てるように、日ごろから研さんする必要があることを認識しました。
  • 普段から使い慣れて食べ慣れるなどしておくことが大事と思った。

主催団体の感想

楽しみながら知識をつけていただけてよかったです。継続しなくてはいけないことだと思うので、定期的に行い知識をつけて、いざというときに迅速に安全に動けるようになっていきたいと思います。 また、食は落ち着いたり、安心感をもらったり、生命維持だけでなく心のためにもとても重要なツールだと思います。私自身、熊本地震の当時も3週間車中泊するなかで、あったかい食べ物を食べた時の感動は全然違ったことを今でも鮮明に覚えています。だから、少しでも心のケアになるような食事をできるだけ早く提供することも大切にしていきたいですし、こういう温かさが、復興につながると信じています。

■イベント概要 
開催日時:2024年2月4日(日)10:30~15:00
開催場所:ひのくにスマイル食堂(熊本県菊池市泗水町吉富300-61)
講師:久保井千勢(こども食堂防災拠点化プロジェクト/防災士)
内容: 午前の部:防災講座 / 午後の部:防災体験
主催:熊本県北部こども食堂ネットワーク
協力:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
後援:熊本県/菊名市

「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?
そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。
また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え・備える機会として防災研修や、さまざまな防災活動の支援提供をしています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出にも寄与しています。
こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。

本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、久保井、佐甲、和泉)

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