私たちむすびえでは「こども食堂×防災×地域」をテーマに各地で防災研修を実施しております。今回は第5回目、山形県庄内地域です。
山形県鶴岡市に拠点を置く、庄内こども食堂等地域ネットワークによって開催されました。
講座、訓練、体験、振返りワークショップと、たくさん想いの詰まった研修をご紹介いたします。
庄内こども食堂等地域ネットワーク事務局である特定非営利活動法人ぼらんたす岩浪理事長の挨拶からスタートしました。
庄内地域は災害被害が少ない地域ですが、昨今の災害激甚化をみると備える必要性を強く感じています。
そして、「備えるのは、物資や備品だけではなく人とのつながりもです。」と、災害時の支援には「人」が欠かせないとをお話しされていました。
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人とのつながりを大切にするため、庄内こども食堂等地域ネットワークでは防災イベントを定期的に開催しようと考えており、今回は第二回目です。
第一回目は、防災食を配り防災に関心を持ってもらう狙いでしたが、今回はもう一歩踏み込み講座や訓練を通じて、気づきとつながりが得られたらよいと、趣旨をご説明されていました。
< 午前の部 講座・訓練パート >
それぞれができる範囲でできることから始める
第1章の「知る」パートでは、地域の特性や危険度を示すハザードマップが会場内の壁に掲示されていました。
みなさん、自分の地域のマップを真剣に覗き込みます。
そして、近年災害級と称される現象「猛暑」についても触れます。
山形県も「猛暑」で全国的に有名な地域です。
夏場、冬場、梅雨、台風、気候変化だけでもこんなにあります。
災害は地震や土砂崩れ、だけでなく、インフラ障害(水・ガス・交通)や火災など、多くの災害があることをみなさんと再確認できたと思います。
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第2章では、「備える」というと発電機など設備のことだけに意識が向いてしまいがちですが、「小さなことからコツコツと」をしっかり意識して行う事の大切さについてお話しされていました。
会場の消火器や各防災備品にも触れて、実践的な確認作業が非常にわかりやすかったと思います。
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第3章の「行動する」では、火災を想定した訓練を実施しました。参加者全員で、大人役と子ども役に分かれ発災時の行動を確認しました。
今回の会場は靴を脱ぐ座敷です。避難は、発災から外へでるまでを行い、点呼を取って全員の安全確認ができて終了でした。玄関の靴の揃え方や避難経路に物がないことなど、小さなポイントを丁寧に確認しよう。と意見が出ていました。
災害に合わせた役割を日頃から決めておきましょう!
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研修会場は、近年まで旅館だった建物を現在はこども食堂として実際に使用されている「みんなの居場所 古⺠家⽟⼿箱」さんにご協力いただきました。
実際運営されている現場での訓練は、より臨場感のある体験ができたと感じています。
どこか懐かしい香りと雰囲気に心が休まる素敵な空間もご紹介させていただきます。
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防災食を食べてみよう
昼食タイムでは、本講座で大切にしている「できることから始める」の実践例として、運営者を中心に防災食を使った炊き出しが行われました。
炊き出しのメニューは、アルファ化米の防災食(五目ごはん味)と山形名物の芋煮、お新香です。日頃から大量の食事提供をされているので、調理から配膳まで手慣れた手つきでしたし、笑顔あふれる時間となりました。
防災食を食べた感想を聞くと、想像以上に美味しいとの声が多く、平時に体験すること、食べ慣れることの大切さをみなさんと共有できたと感じました。
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< 午後の部 防災グッズ・クイズとワークショップ >
体験をしてみよう!(防災グッズ・クイズ)
防災グッズの体験の時間は、庄内こども食堂等地域ネットワークさんが実際に所有している防災グッズを広げ、ひとつひとつ手に取って使ってみます。
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クイズの時間は、むすびえ防災プロジェクトの「防災クイズ」を出題いたしました。
Q. 避難するときに履いて逃げるのは?
①スニーカー
②サンダル
③長靴
④裸足
さて、みなさんは、わかりますか?
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参加者の子どもを中心に防災グッズ体験とクイズの回答で、雰囲気が一段と和みます。
日頃から、このように楽しく防災に触れてもらえると、うれしいです。
振り返りワークショップ
さあ、研修の大詰めです。
今日一日を振り返って感想をシェアします。その後「今日からできること」を考えました。
この研修でとても良いと感じたのは、聞いて学んだことを、体験し、実際に自分で何をするかまで考えるという流れです。
「自分の住んでいる地域の確認」
「ため池に注意」
「そのうち…いつか…と思っていたけど、今やらないと」
など、たくさんの気づきを持ち帰っていただき、ぜひ、第三回に繋がってほしいと思いました。
開催後の変化~今日からできることで気づき、すぐ取り組んだこと~
- 懐中電灯の電池交換をした(こども食堂も自宅も)
- 緊急連絡先を再確認しまとめた
- 消火器の使用期限を確認した
- こども食堂に来る人全員の目に触れるところに所在住所や緊急連絡先を掲示した
- 研修内容をボランティアスタッフに話した
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参加者からの声(アンケートより抜粋)
- 「小さなことからコツコツと」まさにそれですね。灰やら津波やら、家は活断層が近くなので、それを改めて確認出来て良かったです。
- 日頃のつながりの大切さと情報共有、自分の住んでいる地域をまず知ること。
- そのうちに…と思っていたことがたくさんありましたが、今すぐしないと後悔する日が来るかもしれないと思いました。準備した防災グッズが無駄になった日を喜んで、日々送っていきたい。
- 午前の黒木先生のお話がとても分かりやすく、勉強になりました!自分が出来る範囲でかんばりたいと思います。長続きするように。小さなことからコツコツと。
- 災害時のこども食堂の役割について、メンバーと話し合っていきたいと思います。今日はたくさんの学びと顔の見える関係性の大切さを学びました。
今回の主催である非営利活動法人ぼらんたすの栗原様にその後の変化をお聞きしました。
まずは「出来ることから」を始めた事例をお伝えします。
■イベント概要
開催日時:2023年11月5日(日)10:00~15:00
開催場所:みんなの居場所 古⺠家⽟⼿箱(酒⽥市⿊森⼄ 212-3)
講師 :黒木淳子(防災コンサルタントMamoruwa代表)
内容:「こども食堂のこと&防災のことを考える1日!」
午前の部:こども食堂防災マニュアルを活用した講座と訓練
午後の部:防災食を食べてみよう!
体験をしてみよう!(防災グッズ、クイズ)
振り返りワークショップ
共催:庄内こども食堂等地域ネットワーク
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?
そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。
また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え・備える機会として防災研修や、さまざまな防災活動の支援提供をしています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出にも寄与しています。
こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。
本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、久保井、松崎、和泉)