こども食堂にできる防災ってなんだろう?
私たち「むすびえ」では、こども食堂へ地域ネットワーク団体を通じた支援の一つとして、防災についての取組「こども食堂防災拠点化プロジェクト」を行っています。 この活動の一環として、こども食堂防災研修を開催しておりますが、今年度は「こども食堂防災研修2023全国ツアー」と題して、全国各地のこども食堂関係者の方たちと「防災」を通じた学びと交流を企画しました。第2回目は鳥取県鳥取市で、むすびえ発行の“こども食堂防災マニュアル”を活用した防災研修会が開催されました。
今回の研修会は、2023年7月に団体名を改称された「麒麟のまち地域食堂ネットワーク」の主催で行いました。鳥取県東部地域と兵庫県北部は、文化・生活圏を共有しており、伝統芸能の麒麟獅子舞を舞う習慣があることから、この地域は「麒麟のまち圏域」と称されているとのことです。「麒麟のまち地域食堂ネットワーク」の皆さんは、食を通じた圏域のつながりを大切にしたいという想いから、団体名を改称されたそうです。
研修は、こども食堂をはじめとするネットワークに加盟する運営者の皆さまを対象に、防災をテーマにした「学びと交流」を目的に開催されました。
麒麟のまち圏域は、2023年8月に河川氾濫の危機に見舞われました。このたびの研修が、参加者の皆さまに防災の重要性を感じていただける機会になりましたら幸いです。
< 講座パート >
私たちができる防災ってなんだろう?
「防災というと、不安だけど何から手をつけていいかわからない」ー。こんな声をよく耳にしますが、当プロジェクト発行のこども食堂防災マニュアルは、防災を「知る、備える、行動する」と3ステップに分けて、自分にできることを考え、やってみる手引きとなるように工夫してあります。
講座では、この防災マニュアルに沿ってお話ししました。
防災士であり、地域防災に力を入れている松崎からは、鳥取市周辺の地形や気になる災害についての話があり、その後、防災士であり、自らもこども食堂を運営する森谷からは、災害時のこども食堂の活動事例をご紹介し、こども食堂が防災意識を備え向上することの大切さや、災害時に自分たちができることの可能性を、参加者の皆さまに考えていただきました。
< 訓練パート >
調理スペースを使った実践的な訓練
今回の訓練は、食堂運営者には馴染みがある調理室をお借りして行いました。大人チーム、こどもチームの2グループに分かれて訓練スタートです。
この訓練の目的は、日ごろからの準備の再確認です。
この準備には「防災グッズを備える」ということの他に「いざ」という時の役割分担など、チームで実際に話し合うこと、心の準備も含まれます。
災害時を想定したとき、そこには、子どもや高齢者等の要配慮者がいますか?
避難経路は確認できていますか?
誘導係、通報係など、役割分担はできていますか?
大人チームの参加者のみなさんは、そこにいる全員を守りたいという気持ちから、慌ててしまう自分の気持ちに向き合いつつ、丁寧に訓練に参加されていたように感じました。
今回の研修は、鳥取市人権交流プラザで行われました。ここは災害時の一時避難所にもなるということで、防災グッズや備蓄品も見せていただきました。写真のように、いつ、だれが担当になってもわかるラベリングと収納は、見習いたいと思いました。
参加者からの声(アンケートより抜粋)
・災害時のことを考えると、子どもや高齢者が一人で歩いて来所できる場所に食堂があるといいと思いました。自分のところは、遠方から車で来られる人もいますが、もっと地域の人にも来てもらうようにしたいと思いました。
・避難訓練の時の大人の役割が詳しく分かってよかったです。
・何か起きた場合のための事前の再確認を、関係者と話し合いたい。チェックシート、行動、ルールなど
・地域の人が自分ごとに思えるように楽しく防災を学べるイベントでした。
・近日、災害食のメニューで食堂をします。
主催団体の感想
この研修は、ネットワークとして加盟する運営者に向けた勉強会の一環として開催しました。
今まで「防災」をテーマにしたことがなかったことに加え、昨今の異常気象による災害で、ネットワークとして運営者に働きかけ、共に学ぶ機会は大切だと考えたからです。
運営者のみなさんも、それぞれ「防災」に取り組まれていることと思いましたが、ネットワークとして開催する事で、災害時の支援体制は日常の関係性からだという「つながり」を意識した防災研修になったと思っています。
また、この研修を開催したことで、運営者のみなさんの「防災」に対する関心の高さを改めて知ることができ、「防災食」や「大人も子どもも楽しめる防災イベント」など次の活動イメージもつかむことが出来ました。
本研修で「自分にできる、無理をしない防災」を考えることができたので、今後も、運営者のみなさんと「無理をしない防災」について学びと交流を続けていきたいと思います。
■イベント概要
開催日時:2023年10月9日(日)10:30~12:00
開催場所:鳥取市人権交流プラザ研修室 / 調理室
(鳥取県鳥取市幸町151 人権情報センター)
講師 兼 訓練ファシリテーター:
森谷 哲(むすびえこども食堂防災拠点化プロジェクトリーダー/防災士 /こども食堂運営者)
松崎貴志 (むすびえこども食堂防災拠点化プロジェクトメンバー/防災士)
内容:「私たちの子ども食堂にできる防災ってなんだろう?
~こども食堂防災研修 IN 鳥取~」
主催:麒麟のまち地域食堂ネットワーク
協力:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?
そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。
また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え・備える機会として防災研修や、さまざまな防災活動の支援提供をしています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出にも寄与しています。
こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。
本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、松崎、和泉)