事例紹介

【宮城県】「宮城県こども食堂シンポジウム2019〜こども食堂の“いま”と“これから”〜」に参加しました

10/23、「宮城県こども食堂シンポジウム2019〜こども食堂の“いま”と“これから”〜」が開催されました。
当日は、こども食堂運営者の方、社会福祉法人の方など約180名が参加。 講演とパネルディスカッション、こども食堂MAPや立ち上げ支援講座のご案内が行われました。

研修会のスタートでは、むすびえ理事長の湯浅誠よりお話をさせていただきました。
「昨年から約1,400箇所増えたこども食堂。箇所数の増加には、企業や自治会、
お寺など地域の多様なステークホルダーとの連携があって進んでいる」 と、
今後の発展も各機関との顔の見える連携が大切であることなどをお話しました。

続いてシンポジウム。
「ありあけだんらん食堂」の昆野美津子さん、
「ワンコインカフェ」の千葉繁美さん、
「みねの里こども食堂」の奥野成賢さん
がシンポジストとしてご登壇。
コーディネーターとして、湯浅が登壇しました。

「ありあけだんらん食堂」は、東松島市の柳北自治会が取り組まれている、自治会主催のこども食堂です。
「高齢化率が15.9%と低い地域で、現在は若い世代が多いですが、20年〜30年後には若い世代も年を重ね、高齢化率が高くなる可能性がある。
今の内からコミュニティ、地域活動について一緒に考え地域を作っていくことが重要」
と将来を見据えて活動をしている様子をお話してくださいました。
「地域の実情と見えていない問題点を見つけるために一度開催してみよう!」と実行されたこども食堂。
自治会役員の方々のご理解と社会福祉協議会との連携で取り組みは推進されました。
社会福祉協議会の方々とは、下記内容を協議しながら連携を図っているそうです。
① 活動の立ち上げに関する相談
② 地域外の協力者、ボランティアの呼びかけ
③ 活動を推進するための資金面の相談
日常から頻繁に会話をし、心強い協力体制を築かれているようです。

「ありあけだんらん食堂」が常に心がけていることは、
参加者もスタッフもみんなが楽しく笑顔で活動できること。
お話されている昆野さんもとても楽しそうで、イキイキとされていました。

「ワンコインカフェ」を運営している千葉繁美さんは、元々教員の仕事をされていました。
あるシンポジウムで「こども食堂に中学生が来ないんですよね」と聞いた千葉さん。
このシンポジウムでのお話と、ご自身の教員生活で感じたことをもとに、
中学生にもっと活躍の場=自らの役割を認められる場所を提供したいと
「ワンコインカフェ」を始められました。

「ワンコインカフェ」に参加する中高生は自ら運営にも携わります。
前日は、メニューの考案から価格設定、食材の買い出しから交流会の計画まで実施。
当日は、厨房で調理をする担当と会場の掃除やテーブルセッティングなどを行うフロア担当、
会計を管理する担当も決めて、それぞれがすべきことを全うします。
「ありがとう」と言葉をかけられて嬉しかったなどの感想が中高生から聞こえ、
「またやりたい」というモチベーションにもつながっているとのこと。
子どもたちの「やる気」が育まれる場になっているようです!

千葉さんは、
「中高生が主体的になる場ですが、サポートも必要なので、支援スタッフがもう少し増えるといいな」
と思っているとのこと。
また、食材もご自身の農園で収穫をして調理されています。
地域のサポート、食材の寄付の面でも協力を募り、さらなる活動の展開を計画されていました。
今後は、親も巻き込んだ栽培・食育活動もしていくことがその計画に含まれているようです。

最後に、「みねの里 こども食堂」は、角田市にある長泉寺で開催されているこども食堂。
お寺の改築に伴い、こども食堂が開設できるようにした住職の奥野成賢さんは、
周りの方々を説得しながら事業を進められてきました。
最初は、「お寺でなぜこども食堂をするのか?」というこども食堂の間違ったイメージからの反対意見が出ていたよう。
しかし、子どもが集う様子を見て、だんだんと周りの方の見方も変わってきているようです。
学校からの年間行事予定表をいただき、どこのタイミングで開催すれば子どもたちにとって来やすい日程かを確認できるようになったとのこと。
学校行事とのバランスも見ることができて、計画を立てやすいですね!
一人の想いから協力してくださる運営スタッフの方々、周辺の学校…
とどんどん協力の和が広がる地域の力を感じます。

会場からの質問で、
「保育士をしています。保育園で延長保育をしている子たちに食事の提供も合わせてできないかな…
と思っています。でも、周りの方を説得できるかどうか…」
という発言に対して、湯浅からは以下のような言葉がかけられました。
「人は、動いているところに集まります。まずは、動いてみる。
そしたら集まってきてくれるんじゃないかな〜」と。
シンポジストの皆さんの行動力、そして湯浅からの一言で、
質問者の方の目力がグッと増し、一歩踏み出してみようと思われているご様子でした。

こうして、一人二人と想いを形にする人が増え、その想いが地域に伝わり、
つながりができ、助け合いが生まれる。
そんな循環がこれからも一つ二つと生まれていくといいなと感じました。

小さな一歩が大きな一歩につながると実感した日となりました。
宮城県の方々、お疲れ様でした!

むすびえ 葛西優香

事例紹介一覧へ
トップへ戻る