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【開催報告】むすびえオンライン活動報告会 <10/15(火)・10/16(水)>

むすびえでは、2024年10月15日と16日の2日間にわたり、2023年度の活動報告会を開催しました。

むすびえの活動報告会としては、初めて昼と夜の2回開催し、当日は、両日ともに100名近い皆さまにご参加いただきました。

いつもご支援いただいている皆さまへ感謝の気持ちをお伝えするとともに、むすびえの現在地や今後の方向性をご報告しつつ、こども食堂の「今」を多くの方に知っていただく機会となりました。


はじめに理事長の湯浅より、日頃のご支援のお礼と、こども食堂の全国的な広がりと影響についてもご報告しました。

2023年時点で9,132カ所の子ども食堂があり、中学校の数とほぼ同じ水準に達したこと、また、子ども食堂に継続的に参加する子どもは自己肯定感や社会性が高まることが調査で明らかになり、多世代交流の場としての役割が期待されていることをお伝えしました。


続いて理事の三島より、ご支援のお礼とともに、むすびえの2023年度の活動についてご報告しました。

むすびえは2023年度に設立から5周年を迎えました。法人や個人の皆さまからのご支援をもとに、助成金の支給(約2,000団体に対して5億円の助成金を支給)や物資の仲介(約1,000団体へ3億8000万円相当の物資を仲介)、プログラム提供といった形で、様々なご支援をこども食堂におつなぎすることができたことをご報告しました。

また、被災地支援として「出張こども食堂」を開催したこと、むすびえの組織体制の強化や第二次中期計画を策定するなど、2023年度から開始した組織基盤づくりについても報告しました。


後半は、こども食堂や地域ネットワーク団体の皆さんを交えてのクロストークセッションを行いました。15日と16日で、様々な取り組みをされている登壇者をお迎えし、お話をお伺いしながら、こども食堂の活動の広さや多様さが感じられる時間となりました。

<10/15のクロストークセッション>
北海道旭川市の永山ホビーキッチンの浅利さんと、新潟県上越市の清里いばしょベースCha-ya髙木さんのお二人にご登壇いただきました。
むすびえからは、企業団体との協働事業のディレクターの遠藤と、助成金事業のディレクターの森谷が参加しました。

永山ホビーキッチンの浅利さんからは、2024年の2月からこども食堂を立ち上げられたこと、みんなで大きな太巻きを「具がはみ出た!」「海苔が破れた!」と言いながら作ったり、段ボールでこどもたちが自由に遊んだりするにぎやかな様子を写真を見ながらご紹介いただきました。
「いろんな人とかかわりながら食べるということに、ものすごく意味があると感じている」「いろんな方の支援を受けてできるようになったのはありがたいこと。今日はこの場をお借りして、感謝をお伝えしたい」とお話いただきました。

清里いばしょベースCha-ya髙木さんは、空家の古民家を改修して、2024年の3月にこども食堂を立ち上げられました。
「新潟なので米どころ。野菜は近所の方が持ってきてくれる。『皆さんのおうちで今何が穫れますか~?』と聞きながらメニューを考えている」と、さつまいも、栗、かぼちゃを使ったメニューをみんなで食べる楽しそうな写真を見ながらお話いただきました。
「やっていて、私自身も本当に楽しい。毎回初めましての方が来てくれる。長く続けられるよう運営を責任もってやっていきたい」と熱い想いをお聞きしました。

むすびえの企業団体協働事業のディレクターの遠藤からは、
「こども食堂はみんなが参加できるところがすごいところ。いろんな企業の強みで、こども食堂をサポートできる。企業の従業員さんもママ・パパという方も多いと思うので、たくさんの方にこども食堂に参加してもらえる環境をつくっていきたい」
「こども食堂にいろんな可能性があることが認知いただけるようになってきた。2023年度は700社近い企業が何かしたいと動き出してくださった。大企業に加えて中小規模の企業さんからもお申し出をいただくようになっている。食べ物だけではなく、例えば設備系の企業など異なる業種の企業からも応援したい、というお申し出を受けるようになった」と法人からのご支援の輪が広がっている様子をお伝えしました。

むすびえ助成金ディレクターの森谷からは、
「しっかりとした体制で、皆さんに安心して助成金を活用してもらえるようにしたい。むすびえはたくさん助成金を出しているが、使いづらいというお声もあるので、活用してもらいやすいものになるよう整えていきたい」
「地域でも地域の基金が立ち上がっていくことも同時に目指している。比較的被災が少なかった地域のこども食堂さんが、被災地に行って出張こども食堂を始め、それをみていた石川県が、助成金を出すようになった。地域の活動をしっかりお伝えすることで、行政も動いていくことが感じられたことはうれしかったこと。ほかの地域や支援活動においても、支援を育てていく、伝えていく、そして新しい活動が地域で生まれていくことを目指したい」と意気込みを語りました。

ファシリテーターの渋谷からは、「困りごとアンケート」結果のエッセンスを共有し、「今、こども食堂が何に困っているのか、それに対してむすびえが取り組んでいく支援策について、お伝えしました。

15日の最後は、こども食堂を立ち上げられて間もない運営者のお二人に心に残るエピソードをお聞きしました。

(浅利さん)
「こどもが歩きながらなんとなく石をなげていて、前を歩いている子に当たった。親同士で話あって終わったが、1週間後に家族を連れてこども食堂に来てくれた。学校側としては、ルールとしての良い悪いの話になるが、こども側は、なんとなく投げてみたらあたってしまったが、攻撃したいと思ったわけではない。こどもたちを見ていると大人が作ったルールになじめていない、感覚の世界を楽しんでいるように見えるときがある。こども食堂の中ではあまりルールを作りたくない。はらはらしながら見守っているが、そんな中で、ちょうどよい塩梅をこども達につくってもらいたいと思っている」とお話いただきました。

(髙木さん)
「よく来てくれる男の子が、虫にさされてしまった。その場に保健室の先生がいて、対応してくれた。80歳の元養護教諭の方も駆けつけてくれた。その時は、養護教諭の方に対応を任せる形となってしまった。
(こども食堂の運営は)楽しいだけじゃない、外でやる場合は場所を考えないといけないし、草刈りもしないといけない。ヒヤリハットへの備えに際限はないが、一つ一つ積み上げて成長していきたい」とお話いただきました。

<10/16のクロストークセッション>
16日は、山口県と愛知県で、それぞれこども食堂を開催されている一方、県内の地域ネットワーク団体としての活動もされている、山口せわやきネットワークの児玉さんと、豊川市更生保護女性会の内藤さんにご登壇いただきました。
むすびえからは、伴走力向上支援事業のディレクターの中谷と、15日に引き続き企業団体との協働事業のディレクターの遠藤が参加しました。

山口せわやきネットワークの児玉さんからは、
「以前よりJA山口からお米をいただいており、今年の1月には包括連携協定を結んだ。今年は米不足の情報があり、どうかなと思っていたが、今年も3トンをいただけることになった。今こども食堂に希望をきいているところ」
「コロナ禍で、県内のこども食堂と行政や社協、福祉の専門家を結び付けたいと考え、2021年の休眠預金事業で、県内一斉にフードパントリーを行った。現場で、自治体の人や社協の人と顔なじみになって一緒に活動をやっていくことができるし、パントリーに来られる方はこども食堂にいったことがない方が7割くらいいたが、こども食堂を知ってもらうことにつながっている。新しい利用者の方を結びつくことができる」
と、現場での取り組みと手ごたえをお話いただきました。

愛知県の豊川市更生保護女性会の内藤さんからは、
「被害者と加害者の支援、青少年健全育成、子育て支援活動の3つの柱でやってきた。こどもの犯罪の背景としてこどもの孤立の問題があり、地域で子どもたちを守ろうと、2018年にこども食堂を2か所立ち上げた。今は5か所になっている」
「はじめは子どもばかりきていたが、物価高の影響か、最近は家族連れの参加が多くなっている」
と、地域でこどもを見守るあいさつ運動の様子や開催したこども食堂の写真をみながらお話いただきました。

また、愛知県は、ネットワーク団体が中心となり、県内のこども食堂へ物資を届ける物流拠点を設けており、それぞれをハブステーションと呼んでます。その取り組みを踏まえて、
「東三河のハブ(ステーション)としても活動している。最初は4箇所のこども食堂を支援していたが、今は14箇所のこども食堂に物資を届けている。ハブ(ステーション)として、チラシ配布や、企業への物資の相談をしたり、個人の方からの相談を受けるなどの活動を行っている」
と、支援の提供側と受け手の両方をつなぐユニークな取り組みについてもお話いただきました。

むすびえの伴走力向上支援事業のディレクターの中谷からは、
「こども食堂に関わるこども食堂の運営者やネットワーク団体の方、地域の方、企業の方々と、イコールパートナーとして一緒に活動をしていくために、むすびえメンバーの伴走力の向上や対外的な事業の推進をおこなっている」
「県単位あるいは市区町村単位それぞれのネットワーク団体の役割や基盤強化に向けて、むすびえも一緒に関わらせていただいて、その地域の改善を目指す。困りごとの中でも資金や広報の課題があったが、一緒になって活動していく中で、どういった取り組みが効果的か、一緒に動いていくことで考えていきたい」と意気込みを語りました。

16日の最後は、困りごとアンケートの結果を踏まえてのコメントや、参加者の方からの質問へのお答えをいただきました。

(児玉さん)
「山口県はもうすぐ(こども食堂の数が)200か所になる。コロナでそのまま閉めてしまったというところはあるが、地方であることや、廃棄する野菜をいただく支援などもあり、食材にはこまっている声はあまり聞かないが、居場所機能を作りたいなど活動を広げるために、資金支援のニーズは高まっている。それぞれのこども食堂は、県のネットワーク団体につながっているので、ネットワーク団体の役割を理解していただき、支援をしていただければありがたい」

(内藤さん)
参加者の方から、物流の仕組みについてのご質問に対して、
「愛知県の地域ネットワーク団体から定期便というお知らせが月に1回くるので、そこで申し込みをする。お米がメインだが、企業から提供された物資があれば一緒に案内が来る。物資をいただいた際には写真をつけて報告をする。そのような仕組みになっている」
「この仕組みを始めたところ、豊川市の新たな企業さんから寄付のお申し出をいただくようになった」とお答えいただきました。


【本件に関する問い合わせ先】
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
広報  pr@musubie.org

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