認定NPO法人
全国こども食堂支援センター・むすびえ

【ご報告】会津地域でこども食堂防災シンポジウムが実施されました


【9/21(日)開催】「ひろがれ「こども食堂」こども食堂防災シンポジウム in 福島県会津地域」に、むすびえのこども食堂防災拠点化プロジェクトのリーダーで、防災士の森谷哲が登壇をさせていただきました。
こども食堂防災シンポジウムとは、こども食堂運営者をはじめ、行政関係者、地域の企業などを対象とし、災害時における食と栄養、地域連携について考えるイベントです。
本セミナーは、ふくしまこども食堂ネットワークが主催、SPPOG(ばんげ市民活動サポートセンター)、ふくしまこども食堂ネットワーク会津エリア会議が共催された企画です。

【日時】2025年9月21日(日)13:00~16:30
【場所】道の駅あいづ 湯川・会津坂下
【協賛】福島民報社/ KFB 福島放送 /パナソニック株式会社 
【協力】公益財団法人味の素ファンデーション 
UCI Lab. 合同会社 /京都工芸繊維大学 ./道の駅あいづ湯川・会津坂下認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

シンポジウムの中では、講演やワークショップなどを通して、3つのポイントに触れました。
1つ目は、「災害時の食と栄養」です。災害時の栄養バランスの崩れは、命に関わる問題であることや、災害時の食支援の脆弱性の改善のために、官民連携の必要性があることに触れました。
2つ目は、地域の特性とこども食堂の役割についてです。今回は会津地域が中山間地域ということで、高齢者や障害を持つ方々の居場所や安心して相談できる人のつながりという視点でこども食堂の可能性を考えました。
3つ目は、「もしも」と「いつも」の関係について「いつも」の活動が「もしも」につながるフェーズフリーの実践事例を学び、近くの席の方と一緒に、自分ができることを考えるワークショップも行いました。

前半の講演パートは、「災害時の食と栄養」と地域の特性とこども食堂の役割、災害時の居場所について4名の講師からそれぞれお話しいただきました。

  • 公益財団法人 味の素ファンデーション 原裕樹
    いざという時どうする?あなたの食と栄養
  • 公益社団法人 新潟県栄養士会 土田 直美(管理栄養士・防災士)
    新潟県における食を通じた防災・減災対策
  • 京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系 畔柳加奈子(助教)
    「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクトを通じた事例
  • 認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 森谷哲
    こども食堂と防災について
講演の様子

味の素ファンデーションの原様には、健康を見直すきっかけとして、災害時の食と栄養についてお話しいただきました。偏った食事になりやすい災害時、仕方がないと諦めるか、日ごろから気にかけ準備できるかで、未来は大きく変わることを伝えていただきました。

新潟県栄養士会の土田様からは、被災地域である新潟県での取り組みをお話しいただきました。行政の取り組み、栄養士会での取り組み、教育現場での取り組みと3つの視点で食を通じた防災と減災を伝えていただきました。

京都工芸繊維大学の畔柳様には、「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクトとして被災者やボランティアスタッフからお聞きした声を「その時にならないと‘困ること’に気づけなかった」「避難所での見えにくい同調圧力」「物理的な支援だけでない、人の心を動かすこと」の3つに分けて伝えていただきました。

むすびえ・森谷は、災害時に必要な共助は日ごろのこども食堂の活動が大きく役立つこと、そして災害時も居場所は大切な考え方であること、こども食堂をはじめとする地域の皆さまの支え合いがあったから乗り越えることができた被災地の事例などをご紹介しました。


後半のワークショップの時間は、「いつも」の活動が「もしも」につながるという自分ができるフェーズフリーについて考えるワークショップです。

いつものこども食堂が災害時に役立てるとしたらどんなことでしょうか?
逆に、災害時にこんなことが起きそうだから、いつものこども食堂でこんな活動や声掛けをしていこう。など、日ごろの活動を思い出しながら付箋に書き出していきます。

  • 会津地域の芋煮イベントは炊き出し訓練そのもの。味付けも濃い味、薄味と複数用意するなど心と身体と考えながら工夫したい
  • 災害時に子どもたちが必要以上に我慢することの無いように「今あるものを大切にする」ということを声掛けしていきたい
  • 好きなおやつをカバンに入れておく
  • 避難所で同じ食事(冷たい弁当など)はさみしい気持ちになる

など、それぞれの意見がたくさん出ました。

ワークショップの様子

また、このシンポジウムはパナソニック株式会社のご支援で実施いたしました。
非日常である災害時は物質的なストレス(衣・食・住など)に加え、心理的ストレス(視覚・聴覚・嗅覚など)も大きく影響します。入浴や洗濯が制限される避難生活では目に見えない「臭い」の問題が顕著になるでしょう。パナソニック株式会社では、避難所や被災後の生活が少しでも居心地の良いものになるようにと、京都工芸繊維大学のみなさまと「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクトに取り組まれてきました。
会場では休憩時間に脱臭のデモを実施し臭いについても体験しながら考える時間となりました。

脱臭デモの様子

なお、当日は午前中からこども食堂の皆さんがそれぞれ出店し、立ち寄る方々との交流とこども食堂のPRをされていました。
焼きたての明石焼きや石焼じゃがバター、玉こんにゃくなど温かい食べ物が、一足早い秋の風の中、とてもおいしかったです。
この度は、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

こども食堂の皆さんの出店の様子

■ こども食堂防災拠点化プロジェクトについて

そこに集う人々の安全確保はもちろん、平時だけでなく災害時も地域の安心、安全な場として地域のみなさんと支え合えるように、こども食堂の防災力を高めることを目的とし、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え・備える機会として防災研修や、さまざまな防災活動の支援提供をしています。
また、こども食堂防災シンポジウムでは、こども食堂運営者をはじめ、行政関係者、地域の企業などを対象とし、災害時における食と栄養、地域連携について考え、共助と公助の連携のきっかけづくりを目的とし、福祉の枠を超え、地域のセクターと協定を結ぶ視点で働きかけをしています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出にも寄与しています。
こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。

■ むすびえへの講師派遣のご依頼について

むすびえでは『こども食堂』をはじめとし、地域の居場所を取り巻くさまざまなテーマで、講演会やワークショップに講師を派遣させていただいています。
ご依頼テーマに合った活動経験を持つ、むすびえメンバーが皆さまの元へお伺いし、熱意を持ってお伝えします。
ご検討段階の方も、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

詳細・ご依頼方法は こちら

講師派遣の依頼はこちらから

掲載事例
https://musubie.org/news/activity-report/27503
https://musubie.org/news/activity-report/26976