「こども食堂の現状&困りごとアンケート」最新調査結果 発表
(全国こども食堂支援センター・むすびえ)
回答した47都道府県/623団体のうち、一堂に会する会食形式でのこども食堂開催は、現在48.8%まで回復。物価高騰による影響を受けているとの回答が70%となり、そのうち15.6%が実際に開催頻度や料金、食事の内容を変更している・する予定と回答。
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ。東京都・理事長 湯浅誠)では、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、全国のこども食堂の現状と困りごとを聞くアンケート調査をこれまでに5回実施いたしました。
今回は、そのアンケート調査の6回目となり、オミクロン株の影響を受けての活動状況や、3回目のコロナ禍での夏休みを迎えるにあたっての子どもの居場所の開催状況、物価高騰などの社会情勢の影響などを調査するために実施しました。その結果をご報告いたします。回答にご協力くださいました地域ネットワーク団体、こども食堂の皆さん、本当にありがとうございます。
こども食堂の現状&困りごとアンケート調査結果のダウンロードはこちらから。(PDFリンク)
【調査概要】
回答期間:2022年6月2日(木)~16日(木)
回答対象:こども食堂
(むすびえの「地域ネットワークメーリングリスト」と「こども食堂ネットワークのメーリングリスト」から回答を呼びかけ)
回答数:47都道府県 623件
実施:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
【調査内容】
第1部:こども食堂の現状&困りごとアンケート vol.6
・こども食堂開始年
・こども食堂の運営母体
・2022年6月時点のこども食堂の開催状況、開催していない理由
・一堂に会してのこども食堂の再開時期、コロナ禍における変化
・活動に関する困りごと
第2部:コロナ禍におけるボランティア
・コロナ前後での変化
・ボランティア参加者の属性、きっかけ
・必要としているボランティア
第3部:社会情勢によるこども食堂への影響
・物価上昇の影響
・ウクライナ避難民の方との接点
第4部:活動に関する困りごと(自由記述)
【アンケートからわかること(一部抜粋)】
・活動を休止・延期しているのは1.6%のみで98.4%がなんらかの活動を実施している。
・一堂に会する形での会食形式のこども食堂を開催している割合が48.8%(こども食堂(これまで通りみんなで一緒に食べる)15.9%、子ども食堂(これまでと異なり人数制限、屋外開催などをする)5.6%、複数活動(こども食堂を含む)27.3%の合計)と前回の36.4%から10%以上増加する結果となった。
・一方、弁当・食材配布など、いわゆるフードパントリー活動をしているこども食堂の割合が48.2%と前回の53.6%から5%減少しており、食材配布から会食形式のこども食堂を開催する子ども食堂の増加がうかがえる。
・現在開催、1,2カ月後に開催を予定している人たちを合わせると、62.4%と前回の50.9%から10%近く増加しており、ワクチンの3回接種やコロナ禍での生活への慣れなどの影響もあり、すでに開催中、直近で再開を予定している人が増加する結果となった。
・物価上昇による影響を感じているが70%で、そのうち、物価上昇によってこども食堂を開催するにあたり何等かの変更をしている・する予定と回答しているのが15.6%
・物価上昇によって食材を減らさざるを得ないなどの事例もあり、財政面への影響がうかがえる。
・こども食堂でウクライナ避難民の方との接点(参加者として、寄付集めの拠点としてなど)があるとの回答は4.8%。
・具体的に食糧支援を行っている団体や寄付を実施している事例もある。
【むすびえ理事長 湯浅誠より】
第6回のアンケート結果をお送りします。
今回は以下のような問題関心に基づいたアンケートでした。
・オミクロン株が流行した第6波が終わり、感染状況が落ち着いているように見える現在、全国のこども食堂のみなさんは、一堂に会する会食形式を開けているのか。
・コロナ禍での3度目の夏休みを迎えようとする中、今年こそは子どもの居場所が確保されるのだろうか。
・直近の世界情勢の影響はどうか。物価高騰はこども食堂にどのような影響を与えているのか、ウクライナ避難民の方たちを受け入れているこども食堂はあるのか。
結果はこれからお伝えする通りですが、以下のように、全国のこども食堂のみなさんの変わらぬ奮闘ぶりが垣間見えるものとなりました。
・一堂に会する会食形式でのこども食堂開催は、現在約2分の1まで回復。約1年前の第5回アンケートでは約4分の1だったので、倍増した。
・これに7月8月の再開予定(合計13.6%)を加えると62.4%となり、今年の夏休みに単純推計で約3,750箇所の会食形式の子どもの居場所が全国で開かれることとなる。
・物価高騰に関しては、実際に食事内容等に変更が生じている、またはその予定のこども食堂が約6分の1に上った。またウクライナ避難民の方を支援しているこども食堂も5%弱あった。
他方、会食形式に戻したいが、コロナ禍で利用者が増えたことなどから、会場確保に難儀しているという声も、自由記述欄に散見されました。地域の方たちと交流する場という意味でも、コロナ禍の生活困難を支えてくれる場という意味でも、こども食堂などの地域の居場所に対するニーズは高まっており、それを誰がどのように受け止めるかが課題です。
その課題に対し、ボランティアベースで運営されている一つのこども食堂がどんどん巨大化したり開催回数を増やすのは、できるところもあるでしょうが、全国でみんなが取り組めるという意味では、あまり現実的な解決策ではない、と私たちは感じています。
それよりは、地域の個人・団体・事業者が小さくてもよいから地域の居場所を担う地域づくり、1箇所で10日実施するより10箇所で1日ずつ実施される地域づくり、「1人の100歩より、100人の1歩でつくりだす地域」を呼びかけたいです。
より多くの方たちが、今回のアンケート結果を自らが暮らす地域のありようを思い浮かべながら受け止めてくれることを望みます。
【過去の「こども食堂の現状&困りごとアンケート」調査結果】
第1回 2020年4月13日〜17日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/04/musubie_Q_sheet_0423.pdf
第2回 2020年6月19日~25日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/07/musubie_Q2_sheet_0713.pdf
第3回 2020年9月20日~28日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/10/musubie_Q3_sheet_1020_02.pdf
第4回 2021年2月1日~10日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/03/musubie_Q4_sheet_fix0312.pdf
第5回 2021年6月23日~7日実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/07/musubie_Q5_sheet_0716.pdf
※直近で実施した全国子ども食堂実態調査とは調査方法及び回答数が異なっているため、第6回の困りごとアンケートでの比較分析の対象外としております。
第1回全国こども食堂実態調査 2021年10月15日〜12月15日
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2022/03/a7043c68eccf433117d7c6238c32ac0e.pdf
【こども食堂とは】
地域食堂、みんなの家などという名称にかかわらず、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂。「子どもの貧困対策」と「地域交流拠点」の2つの大きな軸があり、制度の裏付けはないが、箇所数は6,014(2021.12発表。むすびえ、地域ネットワーク団体調べ)あることが明らかになっている。(参考:全国の小学校は約2万校、中学校は約1万校、児童館は4,000か所。)
「こども食堂が大事にしていること/これからも大事にしていきたいこと」
https://musubie.org/news/5031/
【こども食堂10周年】https://ks10th.musubie.org/
こども食堂は、今年その暖簾がかかってから10周年を迎える。むすびえでは、特設サイトを開設し、2012 年に最初にはじめた東京都・大田区「こども食堂だんだん」の店主近藤博子さん等へのインタビュー記事を公開中。
【認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ】
代表者 : 理事長 湯浅 誠
所在地 : 東京都新宿区西新宿1丁目20番3号 西新宿髙木ビル7階
設立 : 2018年12月(2021年5月認定NPO法人取得)
むすびえは、ビジョンである「全国に広がるこども食堂を通じて誰も取りこぼさない社会をつくる」ために、こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整え、こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるように活動しています。具体的には、こども食堂の実態を明らかにし普及・啓発する調査研究、各地域のこども食堂ネットワークを支援する地域ネットワーク支援事業、企業・団体とこども食堂支援を行う企業・団体との連携事業を行っています。
コロナ禍では2020年3月5日に「新型コロナウィルス対策緊急プロジェクト」を立ち上げ、「むすびえ・こども食堂基金」の創設や感染症対策の動画コンテンツ等を作成し発表。2021年度は、のべ796団体に約2.7億円の助成を行った他、のべ42企業等からの物資等支援をのべ12,503団体へ仲介した(売価計算で約7.6億円)。
なお、本アンケート調査は、ご寄付により実施しております。ぜひ、継続したこども食堂を支える活動をご支援ください。
https://musubie.org/support/#donate
【本件に関するお問合せ先】
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
広報 (山下、川口、江副、三島)
Email : pr@musubie.org
HP : https://musubie.org/
本サイトの画像データは、報道関係者に限り利用可能です。利用時には、上記、本件に関するお問合せ先にご一報の上、以下、出典をご記載ください。
出典:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ もしくは 出典:むすびえ