【こども食堂調査結果】
本アンケートに回答した446団体のこども食堂のうち、93.7%が活動している。
そのうち、一堂に会する形での居場所型のこども食堂を開催している割合が36.4%。
弁当・食材配布など、いわゆるフードパントリー活動をしているこども食堂の割合が69.8%。
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ。東京都・理事長 湯浅誠)では、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、全国のこども食堂の現状と困りごとを聞くアンケート調査を行なっています。
今回、コロナ禍における過去4回(第1回:2020年4月13日~17日実施、第2回:2020年6月19日~25日実施、第3回:2020年9月20日~28日実施、第4回 2021年2月1日~10日実施)に続き、第5回の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
回答にご協力くださいました地域ネットワーク団体、こども食堂の皆さん、本当にありがとうございます。
こども食堂の現状&困りごとアンケート調査結果のダウンロードはこちらから。(PDFリンク)
【調査概要】
回答期限:2021年6月23日(水)~4日(日)
回答対象:各地の「こども食堂の地域ネットワーク」および「こども食堂ネットワーク」とつながるこども食堂
(むすびえの「地域ネットワークメーリングリスト」と「こども食堂ネットワークのメーリングリスト」から回答を呼びかけ)
回答数:44都道府県 446件
実施:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、こども食堂ネットワーク
【調査内容】
第1部:こども食堂の現状&困りごとアンケート vol.5
・こども食堂開始年
・こども食堂の運営母体
・2021年6-7月時点のこども食堂の開催状況、開催していない理由
・一堂に会してのこども食堂の再開時期
・活動に関する困りごと
第2部:コロナ禍(2020年3月〜現在)での変化に関する調査
・活動内容の変化
・参加者の様子から感じられる変化
第3部:活動に関する困りごと(自由筆記)
【アンケートからわかること(一部抜粋)】
・こども食堂を開催していると回答した人が19.1%と9月に実施したアンケート結果と比べ7.2%増加。複数活動を実施している団体が38.6%で最も多く、9月に実施したアンケートと比べても増加。
・こども食堂の非開催理由の回答として感染防止の対応が難しいことを理由にする人が69.6%と7割近い水準。
一番の理由としても感染防止対策が難しいという理由が60.3%と過半数を超えている。
・現在開催、1,2カ月後に開催を予定している人たちを合わせると、50.9%と過半数を超え前回より11.2%増加しており、ワクチンの影響もあり見通しが立てやすくなったためか、まだ予定は立っていないと回答する割合が激減する結果となった。
・前回までの調査とことなり、感染拡大の不安・感染防止の対応が過半数を下回る一方で必要な人(貧困家庭など)に支援を届けることが60.8%と前回より増加。
・最も困っていることの聴取においても、必要な人(貧困家庭など)に支援を届けることが最も多く、31.2%と前回よりも8.2%増加。次いで運営資金の不足15.9%、感染拡大の不安・感染防止の対応12.3%の順で多い結果となった。
・今回のアンケートの特徴は、長期化するコロナ禍での「変化」を聞いた点にある。こども食堂の現場から見えている「変化」とは何か、を自由筆記から考えた。
【むすびえ理事長湯浅誠より】
全国のこども食堂の「今」がわかるアンケート結果をお知らせします。
コロナ禍で始まった本アンケートも5回目となりました。平時には地域のつながりづくりとして、今回のような非常時にはセーフティネットとして機能してきたこども食堂のありようは、しばしば注目されてきましたが、今回もその傾向は明らかです。
・こども食堂は93.7%が活動している。
・うち、一堂に会する形での居場所型のこども食堂を開催している割合が36.4%
・弁当・食材配布など、いわゆるフードパントリー活動をしているこども食堂の割合が69.8%
9割以上が活動、7割が弁当・食材配布等で人々の暮らしを支えているという事実には、いつもながら驚かされます。こども食堂のみなさんの精力的な活動ぶりには、本当に頭が下がります。
私たちは夢想します。
もし仮に、10年後に同じような厄災が私たちの社会を襲ったとして、その際に、全国に30万ある自治会の7割、9万ある高齢者の居場所の7割、7万ある寺社の7割、5万あるコンビニの7割、3.7万ある保育園・こども園の7割が、今回のこども食堂のように非常時のセーフティネットとして機能するならば、人々の苦しみははるかに和らぐのではないか。
それは「新しい日常」の要請でもあります。コロナにしろ豪雨水害にしろ、私たちの日常はすでに災害と隣り合わせで、日常と非日常の境目はかつてほど明確ではありません。そのような時代には、それにふさわしい、平時と非常時を貫く活動が求められます。
コロナ禍におけるこども食堂のみなさんの活動は、私たちにはそれができる、ということを示しています。
そしてそれは、高齢化の進んだ人口減少社会で災害多発列島でもある日本が、SDGs(持続可能な開発目標)に対する日本型の回答(ソリューション)を世界に提示することにもなるのではないでしょうか。
私たちは、夢想を夢想で終わらせないために、これからもこども食堂のみなさん、こども食堂を応援してくれるみなさんとともに尽力していきます。
むすびえ理事長・湯浅誠
【こども食堂について】
地域食堂、みんなの家などという名称にかかわらず、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂。「子どもの貧困対策」と「地域交流拠点」の2つの大きな軸があり、制度の裏付けはないが、箇所数は4,960(2020.12発表。むすびえ、地域ネットワーク団体調べ)あることが明らかになっている。(参考:全国の小学校は約2万校、中学校は約1万校、児童館は4,000か所。)
コロナ禍では「居場所」としての開催はできなくても、日頃からのつながりをいかし、食材や弁当等を配布するフードパントリー等の活動を行ない、子どもたちの健やかな成長をやさしく見守る地域活動として、全国にその様子は報道された。
【コロナ禍でのこども食堂の様子】
こども食堂基金の助成先の活動の様子です。
防災拠点でもある施設内のハウスで、地域の皆さんとの交流をかねた菜園活動。(熊本県・楡木子ども地域食堂なごみ)
習い事を披露する場がなくなり、ピアノのある駅でコンサートを開催。(佐賀県・ま・まんでぃ)
平安時代から続く個人の農園で薪を焚いての食事作り。(広島県・かぐやこども食堂)
【認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ】
代表者 : 理事長 湯浅 誠
所在地 : 東京都新宿区西新宿1丁目20番3号 西新宿髙木ビル7階
設立 : 2018年12月(2021年5月認定NPO法人取得)
むすびえは、ビジョンである「全国に広がるこども食堂を通じて誰も取りこぼさない社会をつくる」ために、こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整え、こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるように活動しています。具体的には、こども食堂の実態を明らかにし普及・啓発する調査研究、各地域のこども食堂ネットワークを支援する地域ネットワーク支援事業、企業・団体とこども食堂支援を行う企業・団体との連携事業を行っています。
コロナ禍では2020年3月5日に「新型コロナウィルス対策緊急プロジェクト」を立ち上げ、食材等の寄付を呼びかけ、その後、こども食堂の資金支援をするために「むすびえ・こども食堂基金」を創設し、2020 年4月から12 月までの半年で674 団体に対して総額1億2千万円を助成しました。他にも、のべ約9千カ所に物資を届け、金額に換算すると約2億7千万円の支援を仲介。また、感染症に詳しい小児科医の協力を得て「こども食堂・フードパントリー開設簡易ハンドブック」の発行、動画「地域みんなで子どもを育てるためにこれならできる with コロナ時代のこども食堂」の制作、個別相談会の開催などを実施しながらこども食堂の活動をサポートしています。
*認定NPO 法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
https://musubie.org/
ー個人・法人からのご寄付はこちらから受付ています。ー
https://musubie.org/support/#donate
ぜひ、継続したこども食堂を支える活動を、ご支援ください。
過去の「こども食堂の現状&困りごとアンケート」調査結果は、以下にまとまっています。
第1回 2020年4月13日~17日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/04/musubie_Q_sheet_0423.pdf
第2回 2020年6月19日~25日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/07/musubie_Q2_sheet_0713.pdf
第3回 2020年9月20日~28日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/10/musubie_Q3_sheet_1020_02.pdf
第4回 2021年2月1日~10日 実施
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/03/musubie_Q4_sheet_fix0312.pdf
【本件に関するお問い合わせ先】
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
mishima@musubie.org
担当:三島