認定NPO法人
全国こども食堂支援センター・むすびえ

こども食堂は全国で「1万2,601カ所」で、公立小学校数の約7割に~「こども食堂全国箇所数調査」(2025年12月「速報値」)~


~多様化しながら広がり続けるこども食堂と現場での課題~

むすびえは、今年度も「こども食堂 全国箇所数調査」の最新の調査結果を2025年12月の「速報値」として発表しました。

全国のこども食堂は、3年連続で1,700カ所以上増えて1万2,601カ所」に達したことがわかりました。その数は、公立の小学校・義務教育学校を合わせた1万8,545校の7割に近づいています。また全国の小学校区の約4割にこども食堂があるという結果となりました。

<グラフ1>
こども食堂の箇所数と、全国の小学校/中学校数の推移(2025年12月「速報値」)

注:小学校数、中学校数は文部科学省「令和7年度学校基本調査(速報値)」における公立の小中学校数および公立の義務教育学校数の合算による。

<グラフ2>
こども食堂の箇所数と年間のべ参加人数(推計)の推移(2025年12月「速報値」)

<グラフ3>こども食堂の箇所数の推移(2025年12月「速報値」)

〈謝辞〉
むすびえは「こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整える」ことをミッションとしており、本調査はその実現のための調査研究事業として、2018年度より毎年行なっているものです。2025年度は、ファミリーマートからのご支援(ファミリーマート店頭募金(夢の掛け橋募金)を活用したご寄付)を受け、継続実施することができました。ご支援は、調査を安定的に継続し、こども食堂の現状を社会に広く伝えるために役立てられています。


※2025年4月17日~6月16日にむすびえが挑戦したクラウドファンディング「1万カ所を超えたこども食堂の「いま」を見える化したい。あなたの力が社会を動かす!」にていただいたご支援は、別途実施した「こども食堂の実態・困りごと調査」「こども食堂に関する認知調査」に活用させていただいております。

本調査は、むすびえが全国のこども食堂地域ネットワーク団体、都道府県庁、都道府県社会福祉協議会など、こども食堂に関わるあらゆる関係者にご協力いただいて実施したものです(2025年6月〜10月)。必要に応じて、個々の市町村・社協に電話をかけて確認することもありました(都道府県ごとの回答者は別表1参照)。

ただし、こども食堂は自治体等への届出を要しない民間活動であることから、箇所数としてすべてを網羅できていない可能性は残ります。その意味で「少なくともここまでは確認できた」という数字になります。

こども食堂の箇所数は「1万2,601カ所」に
「充足率」(校区実施率)は約4割に。9都府県で50%を、43都道府県で25%を超える

3年連続で1,700カ所以上増加した結果、こども食堂の数は全国で「1万2,601カ所」となり、その数は、公立の小学校・義務教育学校を合わせた1万8,545校の7割に近づいています。またこども食堂の充⾜率(校区実施率)も39.69%で約4割となりました。人口減少や物価上昇が続く中でも、こども食堂を通じて地域のつながりを生み出そうとする市民の力が示された結果となりました。

主な調査結果は次の通りです。

こども食堂の「箇所数」が多い 上位3都府県
東京都1,325カ所
大阪府1,056カ所
神奈川県678カ所

箇所数が500カ所を超えている都道府県が7都府県となりました。
また、最も箇所数が少ない県でも50カ所を超えていました。

こども食堂の「増加数」が多い 上位 3都府県
東京都+ 165カ所
大阪府+ 118カ所
愛知県+ 111カ所

千葉県を含む4都府県は、この1年で100カ所以上の増加となりました。

こども食堂の「増加率」が高い 上位 3県
和歌山県+ 81.71%
栃木県+ 37.50%
岡山県+ 33.94%

福井県・愛媛県を含む上位5県では、2024年から30%以上の増加となりました。

小学校区に対するこども食堂の「充足率」(校区実施率)が高い 上位 3都県
沖縄県65.89%
鳥取県64.96%
東京都60.00%

上記に加えて、奈良県、滋賀県、兵庫県、徳島県、大阪府、島根県の計9都府県で充足率50%を超える結果となりました。
さらに充足率25.0%以上が43都道府県となりました。

充足率(校区実施率)は重要な指標であるものの、他方で小学校の統廃合が進んでいる都道府県ほど充足率が見かけ上高く出るという不都合も生じかねないため、人口比指標(人口10万人あたりのこども食堂数)も併せて発表しています。

「人口10万人に対するこども食堂の数」が多い 上位 3県
徳島県25.84カ所
沖縄県25.13カ所
島根県24.43カ所

鳥取県を含む上位4県では人口10万人当たり20カ所以上となりました。


今年度、増加数で4位、昨年比で倍以上の箇所数増加となった「千葉県」は、箇所数調査の結果を受けて、次のようにコメントしました。

~地域性を活かしながらつながること~
千葉県のこども食堂の普及は各市域ネットワークの活動に依るところが大きく、今回の箇所数100軒増という結果にも大きく影響していると思われます。
2016年、県内のこども食堂運営者と立上げ予定の人たちがつながることを目的に始められた当連絡会はその後草の根的に各市でネットワークが立ち上がってきたことにより個別のこども食堂のネットワークから「ネットワークのネットワーク」として市域ネットワークの中間支援組織へとその形を変えていきました。その理由は市域によって行政などとの関わりや地域性が全く異なり、県全域を対象とした一律的なサポートより地域に合わせたサポートができると考えたからです。現在16の市域ネットワークがそれぞれ地域に合わせた活動をしており連絡会はその個性を尊重したサポートをしています。
2024年から始まった県事業「千葉県こども食堂サポートセンター」の運営を受託し、まだネットワークやこども食堂のない地域への立上げ・継続支援も積極的に行っています。また量的な拡大だけではなく「安心安全な居場所づくり」を目指してセーフガーディングの普及活動もしています。
私たちは今後も実践者の目線を大切に現場に寄り添った活動をしていきます。
(NPO法人千葉県子ども食堂連絡会  髙橋亮)

また今年度、増加率トップとなった「和歌山県」は、箇所数調査の結果を受けて、次のようにコメントしました。

和歌山県では、県内全ての小学校区に、こども食堂を設置するといった目標に向けて、令和5年度から新規設立の備品や設備改修等を対象とする和歌山こども食堂支援事業補助金を拡充しております。また、和歌山未来創造プラットフォーム・こども食堂ワーキングチームを設置し、県内全域に向けて推進を続けてまいりました。
令和6年からは、和歌山県こども食堂応援ネットワークの設立により、食材・寄付金の分配が少しずつ円滑なものとなってまいりました。また、県内でも域内ネットワークの活動・設立が進み、地域のこども食堂同士の連携が進んでいます。
県の取組としては、県内全振興局にこども食堂担当者を設置しました。これにより、地域密着型のアプローチ・市町村及び市町村社会福祉協議会等との密接な連携が可能となったことで、こども食堂開設時、運営者の心理的負担を軽減するサポート体制が実現しつつあります。
こども食堂は、こどもだけでなく地域住民の居場所として非常に有用な機能を持っております。全てのこどもが幸せに生活できるような、こどもまんなか社会の実現に向けて今後も関係各所と連携を図り、推進していければと考えております。
(和歌山県 共生社会推進部 こども家庭局 こども未来課)

また、この1年でこども食堂数としてカウントしなくなった箇所数も少なくない中でも増加率3位となった「岡山県」は、箇所数調査の結果を受けて、次のようにコメントしました。

昨年度のこども食堂数のうち、今年度こども食堂としてカウントしなくなった箇所も20カ所存在した。

岡山県内のこども食堂ネットワークでは、2017年の任意団体発足以来、各こども食堂の思いを尊重し、交流会などを通じて顔の見える関係づくりを進めてきたことから、新規立ち上げや継続に必要なつながりが育まれてきたと考えています。併せて、アンケート等による課題把握を行い、食材提供の仕組みづくりなど、ニーズに応じた中間支援を実施してきました。また、地域ネットワークの法人化により事務局体制が整備されたことで、地域のこども食堂と丁寧に関わることが可能となり、支援の幅が広がってきました。
さらに、今年度からは、県からのこども食堂ネットワーク事業委託を受け、エリアごとのコーディネーター配置により運営関係者の顔の見えやすい関係づくりを進めるなど支援体制を拡充することができました。また、岡山県との協働により、こども食堂への地域の関心が高まり、企業・社協との連携が進みました。こうした関係づくりが、県内でのこども食堂の増加と継続的な運営につながっていると考えています。
(一般社団法人岡山こども食堂支援センター 直島 克樹)

本調査について、詳しくは以下の資料をご確認ください。

【調査資料】

【参考】


ふるさと納税について

<報道関係の皆さま>

本件に関するプレスリリース(グラフや資料等の素材・データについてのご案内あり)は、以下のページからもご確認いただけます。
PRTIMES: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000117.000044382.html
※ 発表会終了後、当日の画像・動画等の素材も随時追加いたします。