認定NPO法人
全国こども食堂支援センター・むすびえ
むすびえは、社会におけるこども食堂の認知やイメージと実際の活動状況との間にギャップがないかを明らかにし、今後の施策検討および支援の輪の拡大につなげるため、「こども食堂の認知調査2025」を実施しました。
今回の調査は、2025年4月から6月にかけて実施したクラウドファンディング “1万箇所を超えたこども食堂の「いま」を見える化したい” でのご寄付により実現しました。ご支援いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
今回の調査は、2025年7月に全国の15〜79歳の男女を対象に実施しました(15歳未満は含まれていません)。本調査は株式会社クロス・マーケティングに委託し、同社のモニターから抽出した各都道府県の男女各50人、計4,700人から回答を得ました。
調査の結果、こども食堂の認知率(「名前・内容も知っている」+「名前は聞いたことがある」)は約9割でした。主な認知経路はテレビで、女性または高年層ほど認知が高い一方、20代女性は相対的に低い傾向がみられました。利用対象のイメージは「生活困窮家庭向け」が最多でありつつも、「誰もが利用する場」という認識も広がっています。
また、こども食堂の役割・機能のイメージで大切だと思うことでは、「子どもの食事提供」と「子どもの居場所づくり」が最も重視されていると同時に、「ひとり親家庭の支援」や「子どもの見守り支援(虐待防止)」も大切な役割であるとイメージする人が多いことがわかりました。
こども食堂への参加・支援状況については、男女ともに子育て世代の参加が多く、10代の参加・支援意向が高い傾向がみられました。
むすびえは、こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会の実現を目指しており、こども食堂に対する理解が社会に広く浸透するよう今後も活動を続けてまいります。
▼報告書
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2025/12/Houkokusho_ninnchi_chousa.pdf
調査の結果のポイント
「こども食堂」の認知率は86.9%
今回の調査では、こども食堂に関連する取り組みの認知(名前を聞いたことがある)は、「こども食堂」が86.9%。「フードバンク」は65.4%、「フードドライブ」は27.8%、「フードパントリー」は21.4%でした。
一方、こども食堂の「内容も知っている」と回答した人は48.0%にとどまり、「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」という人が38.9%。「名前も聞いたことがない」という人が13.1%いました。
※各取り組みの定義は以下の通り
・こども食堂:子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂
・フードバンク:包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で流通に出せない食品を企業等が寄付し、施設や団体、困窮世帯に無償提供する活動
・フードドライブ:家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動
・フードパントリー:ひとり親や生活困窮者など、生活に困っている人々に食料を無料で提供する活動

▼グラフ:「こども食堂」と関連する取り組みの認知率(全体)

・男性より女性、若年層より高年層の方が「こども食堂」の認知率が高い
・「20代女性」の認知が70.4%と低い傾向
性年代別に「こども食堂」の認知率をみると、男性は84.4%、女性は89.4%で、女性の方が認知率が高いことが分かりました。
男性では10代(15〜19歳)、50~70代は8割を超えている一方で、20代が73.8%、30代が76.7%と若年層で低い結果になりました。女性は40~70代で9割を超えており、ほとんどの性年代で85%を超える中 、「20代女性」のみ70.4%で低い傾向です。
「内容も知っている」人は全体で48.0%。性年代別で見ると、男性では40代(34.7%)が低く、女性では20代を除く世代で50%を上回りました。
▼グラフ:「こども食堂」の認知率(性年代別)

・こども食堂の認知経路は1位「テレビ」、2位「新聞」、3位「ウェブサイト」
こども食堂について見聞きした認知経路は、「テレビ」が73.4%と最も多く、「新聞(オンライン含む)」20.8%、「ウェブサイト」13.9%、「SNS」9.6%となりました。
▼グラフ:「こども食堂」の認知経路

こども食堂の認知媒体は「テレビニュース番組」が最も高く、次に「テレビCM」が上位
こども食堂について見聞きした認知媒体は、「テレビのニュース番組」が55.6%と最も多く、次いで「テレビCM」29.2%、「テレビの情報バラエティ番組」16.9%、「新聞記事(Webサイトを含む)」10.2%となりました。
▼グラフ:「こども食堂」の認知媒体

こども食堂の利用対象のイメージでは「誰もが行くところ」が4割超で“ひらかれた場”のイメージも広がる
こども食堂の利用対象について、5段階の回答※で、「あてはまる」「ややあてはまる」を合算して集計した結果、「生活困窮者(家庭)が行くところ」51.7%、「ひとり親家庭が行くところ」43.6%、「誰もが行くところ」42.5%、「子どもだけが行くところ」40.0%の順に多い結果となりました。「生活困窮者(家庭)が行くところ」は昨年(59.1%)より7.4ポイント減少した一方、「誰もが行くところ」は昨年(36.2%)から6.3ポイント増加しており、こども食堂の“ひらかれた場”というイメージも広がりをみせている様子がうかがえます。
(※あてはまる、ややあてはまる、あまりあてはまらない、あてはまらない、わからない)
▼グラフ:「こども食堂」の利用対象のイメージ

▼グラフ:「こども食堂」の利用対象のイメージ_経年変化

・こども食堂の役割・機能のイメージは「子どもの食事提供」・「子どもの居場所づくり」が同率で最上位
・「ひとり親家庭の支援」、「子どもの見守り支援(虐待防止)」も上位
こども食堂の役割や機能について、各項目ごとに「大切」だと感じるかどうかを聞くと、「大切」「やや大切」の計では、「子どもの食事提供」と「子どもの居場所づくり」が同率(各77.4%)で最上位でした。続いて「ひとり親家庭の支援」75.0%、「子どもの見守り(虐待防止)」73.2%が上位となりました。こども食堂が“居場所”であると同時に、支援の機能も大切であるとイメージする人が多いことがわかりました。
▼グラフ:「こども食堂」の役割・機能のイメージ

・こども食堂には「子育て世代」の参加率が高い
・10代は「こども食堂への参加・支援」両方の意向が高い
こども食堂への参加状況については、利用者として参加したことがある人が3.1%、運営者やボランティアとして参加したことがある人が2.2%、支援者(寄付者)として活動に参加したことがある人が8.7%でした。属性別では、男性20代〜40代、女性20代〜30代と子育て世代にあたる年代で参加経験が比較的高い傾向があります。特に支援(寄付)経験は男女とも20〜30代で高め(約13〜14%)で、約7〜8人に1人が支援したことがある計算になります。
また、15〜19歳では、利用・運営・ボランティア・支援のいずれについても今後の参加・支援意向が高く、「こども食堂に関わりたい」という前向きな姿勢がうかがえます。
▼グラフ:「こども食堂」への参加・支援状況

■ 調査概要
・調査目的:全国の「こども食堂」の認知状況やイメージ、参加状況・参加意向などを把握する
・実施時期:2025年7月18日(金)~7月28日(月)
・調査対象:全国47都道府県、15~79歳の男女(クロス・マーケティングモニターより抽出)
・回答者数:4,700サンプル(男女50人ずつ計100サンプルを47都道府県から回収)
・集計方法:2020年の国勢調査の人口構成比に合わせてウエイトバック集計を行った
・調査会社:株式会社クロス・マーケティング
▼【参考】2025年度こども食堂全国調査発表会の当日資料
・「2025年度こども食堂全国調査」総括:<地域のインフラとして広がるこども食堂、一方で物価高など様々な課題に直面>
・【12.12修正版】「実態・困りごと調査2025」および「認知調査」結果のポイント
■過去の調査結果
【2024年度調査の報告】
2024年度『こども食堂に関する認知調査』~認知率は91.4%で、初めて9割突破。「内容も知っている」は49.4%に微増、参加率は6.1%に上昇~
【2023年度調査の報告】
【お知らせ】『2023年度こども食堂に関する認知調査』結果発表 ~ 全国の「こども食堂」認知率は約9割。一方「内容も知っている」のは5割に届かず、正しい内容を普及する必要性が明らかに~
■本件に関するお問い合わせ先
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
Email : research@musubie.org(調査チーム)