認定NPO法人
全国こども食堂支援センター・むすびえ

2025年8月9日、韓国のこども食堂運営者チームが高槻市のタウンスペースWAKWAKを訪問し、現場視察と意見交換を実施。翌日、むすびえと合同で大阪万博にて発信イベントを開催しました。
韓国チームの釜山総合社会福祉館、ソウル市孔陵青少年文化情報センターは、これまでに少子化、高齢化、都市への一極集中など類似する社会課題を抱える東アジアでの住民主体の活動の実践事例などを調査する事業をきっかけに連携している韓国の仲間です。今回、共同で行う大阪万博での啓発イベントへの参加をとても喜んで、来日してくださいました。
国境を越えて課題と解決策を共有する
今回の視察とイベントは、日韓のこども食堂運営者が互いの現場を理解し合い、行政制度や文化背景の違いを超えて共通する課題や解決のヒントを共有することを目的に企画されました。さらに、国際連帯の視点から、地域での居場所づくりや中間支援のあり方、文化を活かした交流の可能性を探り、今後の日韓ネットワーク構築につなげる狙いで交流を継続してきました。

「ひとりぼっちのいない社会」を目指す現場から(タウンスペースWAKWAK訪問)
WAKWAK(https://ts-wakwak.com/)は設立以来、「ひとりぼっちのいない社会」をビジョンに掲げ、こども食堂や学習支援、ケア付き食堂、中間支援事業など多角的に活動しています。

視察の日は、ちょうどこども食堂を開催する日で、子どもたちからお好み焼きを振る舞ってもらい、みんなで美味しくいただきました。また、地域の夏祭りでの出店に向けたリハーサルということで、ウィンナーも準備をしてくれていました。子どもたちからのおもてなしに、一同、感激。とてもあたたかな交流の時間となりました。

視察では、大阪府高槻市富田地区でのこども食堂(共生食堂)・ケア付き食堂の運営、高槻市全域をカバーするアクションネットワークの構築、行政・企業・地域団体との連携事例、多世代・専門家によるボランティア参画などの事例が紹介されました。

韓国チームからは、行政依存の意識や行政からのリスク管理視点の強さ、地域ボランティア参画の難しさ、全国規模支援団体間の派閥・対立への対応など、こども食堂を運営する中での率直な課題が共有されました。
万博で確認できた国際連帯の輪
翌日、大阪・関西万博会場では「国際連帯」をテーマにパネルディスカッションを開催。釜山総合社会福祉館、孔陵青少年文化情報センターの実践事例の共有を通じて、こども食堂が子どもや若者の可能性を引き出す場であること、文化継承や交流の場としての役割、行政・民間・地域をつなぐ中間支援の重要性、国境を越えた学び合いの必要性が語られました。

また少子化が進む過疎地域では、子どもたちを中心とした活動に対してなかなか理解が進まなかったこと、活動をする中で地域住民が協力してくれるようになった経験などについても共有がありました。

釜山総合社会福祉館 館長 Choさん
前日の視察を経て、土台となる思いや課題感を共有していたことから、議論は深まり、日韓の交流が実践者の意欲を高める機会となりました。

孔陵青少年文化情報センター センター長 Leeさん
韓国チームからは韓国での啓発や事業成果評価の共有イベントへの協力依頼だけでなく、「今後、こども食堂や中間支援など関係者の皆さんが集まる場があれば参加したい」「次回はもっと多くの仲間を連れて来たい」との声もあり、継続的な連携が確認されました。
むすびえは、今後も日韓のこども食堂関係者同士がつながり、学び合い、こども食堂を起点とした地域づくりや社会づくりに向けた国際的なネットワークづくりを進めていきます。