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【開催レポート】こども食堂×防災×地域 in東京都羽村市

「もしも」が話せる「いつも」の関係づくり

私たち「むすびえ」では、地域ネットワーク団体を通じたこども食堂への支援の一つとして、防災についての取組「こども食堂防災拠点化プロジェクト」を行っています。 この活動の一環として、こども食堂防災研修を開催しておりますが、今年度は全国各地のこども食堂関係者の方たちと「防災」を通じた学びと交流を企画しました。第16回目は東京都羽村市です。

羽村市こどもの居場所づくり協議会が主催となり、こども食堂運営者のみならず、子どもを預かる居場所運営者の方や、まちづくり関係者、新聞記者など地域防災に関心の高い方、総勢30名近くが参加されましたので、その様子をレポートいたします。

この研修を企画運営された羽村市こどもの居場所づくり協議会の岩淵百合子様のメッセージでスタートです。

「日頃、こどもの居場所づくりの活動をする傍ら、災害時の対応に不安を感じていました。不安を掘り下げていくうちに、物品の備えの他に、この不安な気持ちもみなさんお持ちではないかと考えるようになり、「気持ちの備え」も大事ではないかと考えるようになりました。
東日本大震災や能登の事例を考えても個々の備えだけでは限界がありますし、公助に頼るだけでも目の前の不安は解消できないと感じています。
やはり、人々のつながりが大切ではないでしょうか。
今回は、そんな災害時の対応について、みなさんと一緒に考えるきっかけになるように、また、災害時に助けを求め合える関係への第一歩になればと願っています。」

日頃の「こども食堂」「居場所」でフェーズフリーを考える

こども食堂と防災には多くの共通点があります。
大量調理すること・ボランティア活動であること・普段から顔が見える関係であること・地域とつながっていることなどです。

講師の久保井(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 防災士)は、「もしも」を想定して「いつも」出来ることを考えましょう。とお伝えします。
「もしも」を想定して、どんなケースが考えられるか。何を準備しようか。その地域、その居場所、こども食堂、それぞれできっと違うと思います。

一番よく知っているのは、日頃その場にいるスタッフや子どもたちです。
子どもと一緒に「防災」を体験してみるのも良さそうです。
パック調理や段ボールトイレづくりなど、「試してみよう!」という気軽な取り組みが防災を継続する秘訣ではないでしょうか。

防災用語でフェーズフリーという言葉があります。
「備えない防災」などと言い換えられることもありますが、普段から災害時のことを想定して生活することです。
最近、よく聞くようになった言葉「ローリングストック」もフェーズフリーの考え方です。

保存食の備蓄だけでなく、日頃の食生活に備蓄食料を取り入れるという考え方で、少し多めに食材や加工品を買い、食べた分だけ買い足し、一定量を家に備蓄しておく方法です。
こども食堂や居場所だけでなく、ご家庭でもできる防災ですね。

また、物品の備え以外に大切なことは、災害時のスタッフ連携や来所する子どもの引き渡しはどうでしょう。

日頃から、誰とどのように連絡を取っていますか?
災害時は、その連絡方法で大丈夫でしょうか?

まさに、地域とのつながり、人とのつながりが活きる場面ではないでしょうか。

むすびえ理事長の湯浅誠もフェーズフリーに触れています。

【『こども食堂防災マニュアル』のあとがきより抜粋】
日常と非日常をはっきり分けない、どちらにも通用する、そんなつながりが求められています。ふだんは杖として使えるけれど、雨が降ったら傘にもなる、そんなつながりです。
こども食堂は、そんな杖にも傘にもなる存在だと、コロナ禍で証明されました。
私たちは、そんなこども食堂のありようが、みんなに浸透していくことを願っています。

子どもの気持ちを想像してみる

前半の座学パートの後は、実際に身体を動かした想定訓練です。

調理中の火災発生!その時、どうする?
私たち「大人」は何をしなくてはいけないでしょうか?

消火器で初期消火する。消防に通報する。子どもを避難させる。などなど、避難行動をいくつか思い浮かべると思いますが、見落としがちなのが「子どもの気持ち」です。突然大人たちが大きな声で慌てだし、火災報知器が鳴り響く現場で、子どもたちはどんな気持ちでしょうか。その時どんな行動をとるでしょうか?

日頃、子どもたちと接しているみなさんだからこそ、その時の子どもの気持ちを想像することが可能ではないでしょうか。

羽村市の訓練タイムでは、さまざまなケースを参加者のみなさんが考えられ、こんな時どうする?こんなこともあるよね?と大人も子どもも全員が安全に避難するために必要な事を話されていました。

中村正人様からのメッセージ

閉会は研修会場としてご提供いただきました、特別養護老人ホーム神明園の園長で東京都高齢者福祉施設協議会の災害対策検討委員長を務められる中村正人様から、能登半島地震の現地支援へ行かれた体験や、想いをお話しいただきました。

「お正月の能登地震は、離れた地域の私たちにも、とても大きな衝撃を与えました。
私も、被災地支援として現地へ行ってきました。今なお現地では、公助、共助、自助を総動員して活動されていますが、人々が連携するということは、日頃から意識して顔見知りになっておくことが本当に重要だと実感しましたし、羽村のこの地に置き換えても大切だと考えています。
そのために、私たちは防災士という資格を持った地域の方々を中心に、町会や地区を越えて、災害時に活きる関係づくりとして、みなさんの活動のお手伝いや顔合わせの機会をこれからも作って行きますので、この輪を広げていきましょう。」

参加者からの声(アンケートより抜粋)

  • 防災というのが特別なことではなく、日常的に取り組める身近なことなのだと思いました。普段やっていることの延長と捉えれば、続けていけそうと感じました。人間同士の関わりが大切なこと、改めて気づきました。
  • 来所する子どもの人数把握、特性を知ること、スタッフとの連携。施設の特性を知り、備える必要があると改めて気付きました。
  • 常に状況把握は必要。当たり前は当たり前ではないなと。お互いを知ることが必要。
  • 本日の講座の対象者をもっと広げて、町内自治会、地域関係者、施設、公的機関も含めた講座を開催したい。

主催団体の感想

以前より災害が起きた時に子どもたちを守る為にどのような備えや行動をするべきなのか学んだり、また災害時に「助けて」と言える、協力し合える関係作りを進める機会を作りたいと考えていた時に、むすびえ・こども食堂防災拠点化プロジェクトを知りました。
今回防災研修を開催頂き【防災】への意識を高める為の大きな一歩を踏み出す事ができたと思います。「個々で取り組んでも仕方がない」「お金がかかる」など、重要なこととわかりながらも動き出す事ができず、足踏み状態が続いていましたが、今回の研修に参加したみなさんが「防災は特別な事ではなく、日常的に取り組める身近な事である」という考えへ切り替える事ができました。また、つながりが災害時こそ必要である事を再認識しました。
今後も災害が起きた時のことをイメージし話し合い、備えやつながりを強化するための取り組みを継続していきたいと思います。

■イベント概要

開催日時:2024年2月23日(金・祝)10:00~ 12:00
開催場所:特別養護老人ホーム神明園
講師:久保井 千勢(防災士・むすびえこども食堂防災拠点化プロジェクト)
内容:「もしも」が話せる「いつも」の関係づくり
   ~こども食堂防災研修 IN 羽村市~
主催:羽村市こどもの居場所づくり協議会
協力:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ

「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?

そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。
また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え・備える機会として防災研修や、さまざまな防災活動の支援提供をしています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出にも寄与しています。 こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。

本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、久保井、和泉)

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