「もしも」が話せる「いつも」の関係づくり
私たち「むすびえ」では、地域ネットワーク団体を通じたこども食堂への支援の一つとして、防災についての取組「こども食堂防災拠点化プロジェクト」を行っています。 この活動の一環として、こども食堂防災研修を開催しております。今年度は、全国各地のこども食堂関係者の方たちと「防災」を通じた学びと交流を企画し、第10回11回は沖縄県那覇市・石垣市で行いました。
沖縄は台風も多いので、予測できる災害に対しては意識も高いが、突発的な災害や今までなかなか触れられてこなかったJアラートについても意識を向けてほしいと今回の研修を企画実施されましたので、その様子をレポートいたします。
2024年1月29日(月)
那覇市こども食堂防災研修の様子
沖縄県総合福祉センターにて沖縄県子どもの居場所ネットワーク様主催で実施されました。
冒頭、県社協伊良皆部長より、
「年始から能登半島地震、羽田空港での航空機事故があったが、珠洲市三崎町寺家の下出地区の方は全員無事、日本航空旅客機の乗客乗員全員無事であり、それは普段からの避難訓練の賜物であり、防災意識を高めておくことは、子どもが大人になった時にも役立つので、今日学んだことを持ち帰っていただき、スタッフや子どもに共有してほしい。」
とご挨拶いただきました。
災害には自然災害と人的災害がある
沖縄は地域の特性で人的災害(Jアラート・ミサイルの脅威)にも接しています。
黒木講師の「2023年11月Jアラートが発令された際、どういう行動をとりましたか?」という質問に対し、何も出来なかった方が大半でした。
災害は、種類によってそれぞれ対処方法が変わります。
地震の時は頭を守りかがむ。火災時は身体を低くして口を覆いながら避難するというように、爆破物の場合は、窓から離れ、頑丈な建物に逃げるなどの対策をとってほしいこと、そして、みなさんの居場所を思い出し、どこが安全か考えてほしいという説明がありました。
「自助・共助」が重要
災害時にとても心強いのが「共助」です。
公助ももちろん大切ですが、公的機関も被災するので、すぐに助けがくるわけではありません。
能登半島地震が起きて3週間が経過してもインフラが完全復旧していないことを考えると、「自助・共助」がとても重要になってきます。
ここで、沖縄の地域文化「ゆいまーる」が活きてきます。 沖縄の方言で助け合いを表す言葉で、相互扶助の心が浸透している地域だからこそできる「こども食堂×防災」の在り方や可能性を皆さんと一緒に考えることができたと思います。
訓練の大切さを体験する
大人役・子ども役に分かれて普段のこども食堂の一コマを演じてみる
その時、火災が発生!! というシチュエーション。 さあどうする?
訓練を実施してみて
- 役割分担をしていてもうまくいかないことを感じたので、何回もやることが大事だと感じた
- 実際は今よりパニックになることが想定されるので、訓練していきたい
- 子どもたちの理解・協力を得ることも大事
- 想定できないことが起きることも前提に訓練していきたい
2024年1月30日(火)
石垣市こども食堂防災研修の様子
石垣市役所にて八重山こども食堂ネットワーク様主催で実施されました。
八重山こども食堂ネットワーク事務局の金城様より、
「能登半島地震で多くの方が被害に遭われたが、石垣島も他人事ではない。過去、石垣島でも津波の被害があったり、有事の際は近隣諸国の影響を受ける可能性もある。防災とこども食堂はイメージが結びつかないかもしれないが、地域の居場所であるこども食堂には防災が必要なので、今回の研修で災害について理解を深め、自分たちの居場所に持ち帰ってほしい」
とご挨拶をいただきました。
「もしも」の時こども食堂は役立つ
普段から多くの人と繋がっているので、「いざ」という時に子どもの安心・安全な場所を作ることが可能(現場コーディネーション)です。そして、炊き出しや安否確認など直接的な支援も日ごろの活動の延長です。まさに、「つながりが命を守る」です。
「いつも」のこども食堂のこと
黒木講師の「こども食堂の住所を知っていますか?」という質問に対し、今回の参加者は住所を正確に記憶している方が多数でしたが、意外と答えられないのが実情です。
公民館や公共施設を借りているこども食堂さんも多く、施設の名前は言えるが、正確な住所まで覚えていないという方も多いのではないでしょうか?
緊急車両を依頼するときは、正確な住所を伝える必要がありますので、再確認しましょう。
隣接国の影響を受ける可能性
那覇市の研修でもお話したJアラートについて、石垣市でもお伝えしました。
黒木講師が那覇市同様に、「建物の中、又は地下に避難してください!とJアラートが発令した時、みなさんどのような対応をしましたか?」と質問すると、「どうしたらいいかわからないから、何もしなかった」という声が多数でした。
爆発物は横に広がり、破片やものが飛んでくるおそれがあるため、ドアや窓、カーテンを閉め、部屋の中心部で低姿勢をとることが必要と具体的にお伝えいたしました。
訓練の大切さを体験する
那覇市同様、子ども役と大人役に別れて避難訓練実施し、違う方向に逃げる子、トイレ中の子、点呼の際に一人足りないなど、スムーズに避難できるわけではないということを体験してもらいました。
- 非常ベルがどこにあるのか知らないことに気付けた
- トイレ時に災害が起来た場合、どうしたらいいかと考えさせられた
- 言うことを聞かない子やパニックになる子もいるかもしれない。大人が真面目に対応していたら、子どもも理解してくれると思った
災害大国日本にいる限り、災害は必ず来ます。
その時のために日ごろから「無理をせず」練習をしておくこと、準備しておくことが大事です。
- ハザードマップを確認する
- 避難場所、ルートについて確認する
- 防災グッズを見直す
- 防災食を食べてみる
- 緊急連絡先の連絡網を作る
- 避難訓練を実施する
- 「もしも」が相談できるつながりを作る
今回の研修で次の行動のヒントが見つかり、一つでも実践いただけたら幸いです。
■イベント概要
開催日時:2024年1月29日(月)13:00~15:00
開催場所:沖縄県総合福祉センター
講師:黒木 淳子 (防災コンサルタント/Mamoruwa代表)
主催:沖縄県子どもの居場所ネットワーク
開催日時:2024年1月30日(火)14:00~16:00
開催場所:石垣市役所
講師:黒木 淳子 (防災コンサルタント/Mamoruwa代表)
主催:八重山子ども食堂ネットワーク
内容:「もしも」が話せる「いつも」の関係づくり
~こども食堂防災研修 IN 沖縄県 那覇市・石垣市~」
協力:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?
そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。
また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え・備える機会として防災研修や、さまざまな防災活動の支援提供をしています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出にも寄与しています。
こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。
本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、友定、和泉)