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「SOMPO流 子ども食堂」で少子高齢化の課題に挑む 〜SOMPOケア株式会社〜

――プロジェクトの概要

全社一丸となって新たに取り組む新施策『SOMPOケア 未来へのチャレンジ』を発表したSOMPOケア株式会社。「SOMPOの介護が日本の介護を変える。そして、日本の未来を創る」を実現するべく、「供給力向上と需要の抑制への挑戦」「もっと“働きがいを感じる会社”へ」「SOMPO流の介護を創る」という3つの目標を掲げています。
なかでも社員の働きがい向上を目指した施策のひとつにこども食堂の展開があり、現在は450ある施設で毎月1回、こども食堂を開催しています。


高齢者へのサービス提供を本業としてきたSOMPOケアは、子どもに関する事業活動については専門外。しかし、多世代の交流を促すことでご利用者さまにも、高齢者と触れ合う機会の少ない地域の子どもたちにも、双方にメリットがあると考え、2022年、全国の事業所でのこども食堂の実施に踏み切りました。食事の配膳や下膳、消毒などの介護職の仕事の体験から食後のレクリエーションまでを施設の高齢者ともに過ごす「SOMPO流 子ども食堂」には、2023年11月末現在、14,500人の子どもたちが参加し、交流を深めています。
こども食堂の開設は、ご利用者さまの活力向上だけでなく、地域交流の機会の提供、介護職の魅力発信、職員の働きがい向上の促進にもつながっています。さらにはその先にある、複合的に地域が抱える「孤食」や「貧困」という課題の解決も目指しています。

当プロジェクトの担当である地域包括ケア推進部企画課部の櫻井絵巨(さくらいえみ)さんに、活動についてお話を伺いました。

――活動のきっかけを教えてください。

2022年4月に社長に就任した鷲見が、就任100日目に「未来に向けて取り組みたいこと」として発信した提言を具体的施策に落とし込む中でさまざまな案が出てきました。その1つに「もっと働きがいを感じる会社へ」があり、具体的な取組としてSOMPO流子ども食堂の開催にチャレンジすることになりました。
私たちは、すべての人にひとりの人間として、最後まで笑顔で生き抜いて欲しいという想いで事業を行っています。施設を利用する高齢者の笑顔を起点にして、周りのご家族や働く仲間にも笑顔がうまれ、ご利用者さまと子どもたち、職員、未来社会の三方良しになる。そんな世界を目指しています。少子高齢化が切実な問題として叫ばれる昨今、少子化問題だけに取り組んでもいても答えは見えてきません。
同じように、高齢化対策だけを考えていても解決しない。その両方に一度にアプローチできるのがこども食堂ではないか、鷲見の強い想いとこれまでの積み重ねてきた経験を結集させて、このプロジェクトを始動することになりました。

――活動に対しての想いや、実際支援している中で感じていること、具体的なエピソードなどを教えてください。

こども食堂をはじめて1年ほどですが、さまざまな場面で変化を実感しています。
最も大きいのは、ご利用者さまの変化です。日ごろベッドから起き上がれない方がこども食堂の日は着替えて車椅子に乗って食堂に来てくださったり、日ごろは車椅子の上で過ごす時間の多いご利用者さまが子どもたちとのレクリエーションに参加するため自ら立ち上がって2,3歩歩いたりと、日常生活動作が改善されているという報告が複数寄せられています。認知症でナースコールが手放せない方が、こども食堂のイベントで役割を担い、自分の居場所を見つけられたと感じたのか、その後ナースコールの回数が減ったということもありました。体力、気力の両面で活力向上につながっている良い効果があるのを実感しています。こども食堂の開催を毎月楽しみにしている利用者さまが多いので、退去者が減ったという経済的な効果が後から出てきている施設もあります。

地域に目を移すと、孤食の問題を抱えている子どもたちや一人暮らしの高齢者、ワンオペで子育てを頑張っているお母さんたちにとって、こども食堂が地域の居場所になっているのを感じます。障がい児のNPO法人と協働でユニバーサルこども食堂を実施した際には、障がい児を育てるお母さんたちが、ホームに来てくださったからこそ胸の内をお話してくださることもありました。
また、地域との連携は、自治体や行政との間にあった壁を一気に崩してくれたように感じています。今では施設の場所を提供して認知症に関する勉強会「認知症カフェ」を共催したり、地域イベントの開催場所として利用してもらったり、地域に開放した場としての位置を確立しつつあります。地域との関係性がよくなることで、本業もやりやすくなり、お互い協力し合えているという声が各施設からあがってくるようになりました。

従業員からは、本業が忙しい、人手が足りないなど、子どもに関する事業活動を行うことについて賛否両論がありました。しかし、実際にこども食堂に合わせて開催している職業体験の場で介護の仕事について説明をしていると、変化を感じる従業員も少なくありません。介護の仕事への興味を持ってもらえるだけでなく「エッセンシャルワーカーとしての自分たちの仕事がこんなにも尊く、素晴らしいものだったんだ」と感じ、あらためて仕事に誇りを持てたという声が複数聞かれました。こども食堂での開催をきっかけに、小・中学校から職業体験の依頼も増えており、嬉しいことだと思っています。

――今後こども食堂やむすびえとどのようにかかわっていこうと考えていらっしゃいますか。

多くの方にご参加いただいているSOMPO流 子ども食堂ですが、一方でなかなか参加者が集まらない施設も残っており、取り組みへの温度差があります。今後10年、20年と継続していくためにも、全ての事業所が圧倒的当事者意識を持って、安定して参加者に来てもらえるように仕組みづくりの部分で、知見のあるむすびえさんに協力をお願いしたいと思っています。
また「子どもと触れ合う機会を作ってくれて嬉しい」というご利用者さまの声を多くいただいていますが、ご利用者さまの心身の活力向上や幸福度UPなどを定量的な効果としてエビデンスを取っていく方法についても課題を感じています。
実はSOMPOケアがこども食堂を始めたとき、まだ世の中はコロナ禍でした。ご家族でさえ面会が難しい時期に、見知らぬ子どもたちを免疫力の低い高齢の親に接触させることに、ご家族からは反対の声をいただくこともありました。しかしそのたびに、丁寧にSOMPO流子ども食堂は、ご利用者さまの笑顔や活力向上のために行っていることをご説明させていただきました。実際、こども食堂を始めて「こんなに笑顔で喜ぶ姿を見たのは久しぶりで私たちも嬉しいです」とご家族にも喜んでいただいています。こども食堂の取り組みを、将来的には当社のみではなく他の介護事業者にも開催してもらい、多くの子どもたちに食事を美味しく楽しく召し上がっていただき、多世代交流を通じて高齢者の方にもっと元気に幸せになっていただきたい、と考えています。そして、むすびえさんをはじめ賛同してくださる仲間を大切に増やしていきたいと思っています。

  配膳の様子

――むすびえメンバーより

コロナ禍でスタートしたSOMPOケアさんのこども食堂には、さまざまな声が寄せられたのではないかと想像します。そうした声が上がることも想定される中、「交流の機会が極端に少なくなり、いつもひとり窓の外を眺めている施設利用者さまの様子を見て、笑顔を増やすためにこども食堂をはじめられた」というお話には頭が下がる思いです。
つながりが少なくなった現代において、多世代が交流することの大切さ、そのために動くことの重要性をあらためて教えていただきました。
(広報・ファンドレイジング 山下)

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