こども食堂防災拠点化プロジェクト!
フェーズフリーで地域防災の未来を考えるワークショップ
昨年の神戸大会に続き、今年の「ぼうさいこくたい2023in神奈川(※1)」へ参加し、こども食堂の活動を知ってもらい、こども食堂の地域での役割についてワークショップを通じて、参加者のみなさんと考えることができました!
※1.ぼうさいこくたいは、国が主催する全国最大級の防災イベントです。2023年は関東大震災発生から100年の節目の年に当たることから、神奈川県での開催が決定しました。
ご参加いただいた方々は、企業や行政の方、防災に関心のある方、地域で活動されている方、こども食堂を運営されている方、こども食堂を知らないがどんな話なのか聞いてみたい方と多様で、防災をキーワードに多くの方にご参加いただけましたこと、とても光栄でした。誠にありがとうございました。
それでは、当日の様子をレポートします。
【こども食堂とは】
講師の森谷(防災士・こども食堂運営者/むすびえ・防災プロジェクトリーダー)は、冒頭で参加者のみなさまへ「こども食堂へ行ってみましょう!」と呼びかけます。
こども食堂運営者でもある講師は、まず、こども食堂がどんな場所なのか、どんな魅力があるのかを丁寧に伝えました。
「地域食堂」「みんな食堂」などという名称のところもありますが、こども食堂は名称にかかわらず、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂のことで、貧困問題・子育て支援などの社会課題を「包括的」に「予防」するポテンシャルがあり、他にも地域づくりなど、さまざまな価値があります。
スタイルもさまざまで、多世代交流の場になっているこども食堂、高齢者が活躍するこども食堂、異文化体験交流や、食育や移住者交流など、その土地、その会場、参加者によって少しずつ違います。まさに表情豊かでひとり一人違う、子どもをはじめ、多くの人が集う居場所です。
【こども食堂と防災拠点化プロジェクトについて】
平時のこども食堂は、子どもを中心とした多くの方が集う場所です。
笑顔があり「食」を通じた交流の場になっています。
一方で、災害時の事を考えてみましょう。
災害時はボランティア活動が必要です。子どもも大人も、赤ちゃんも高齢者も、無事が確認できる方法や、場所、気軽に相談できる関係が安心につながります。
そして、災害時は食に困ることもあるでしょう。
こども食堂では、この災害時に必要な力を普段から発揮しています。
こども食堂と防災の共通点・・・
- 継続した活動であること
- 衛生管理や大量調理を行っていること
- 日頃から地域との連携が図れていること
- 多世代が参加する活動であること
こども食堂防災拠点化プロジェクトでは、こうした、こども食堂と防災の共通点を多くの方にお伝えして、防災を意識したこども食堂が増えるような活動をしています。
- こども食堂運営者向け防災研修
- こども向け 防災ゲームや防災クイズ
- 防災食体験
- こども食堂運営者向け 防災マニュアル発行
- こども食堂運営者向け 防災SNSグループの運営
【地域の活動事例 フェーズフリーの取組について】
フェーズフリーって?「いつもをもしも」
私たちは、防災を考えた時に、日常と非日常の垣根をなくし、「いつも」の活動が「もしも」に役に立つことを推奨しています。
U.grandmaJapanの取り組み【愛媛県宇和島市】
スピーカーはU.grandmaJapan副代表の折原理恵さん
U.grandmaJapanでのフェーズフリーな防災の取り組みをお話しいただきました。
始まりは災害支援から
「平成30年7月豪雨災害」で甚大な被害が発生し、被害のあった場所や日々変化する状況を目の当たりにし、当時は炊き出しの必要があったそうです。
大量の食事提供にボランティア参加されていた方達は、「日ごろのコミュニティが有事の際にどれだけ大切か」と痛感し、地域の交流を目的としたこども食堂を立ち上げ、2か所から始まったこども食堂は、現在19か所まで増えたそうです。
しかし、地方ではこども食堂へ行くまでが遠く、足を運べない地域のご家庭もあります。
U.grandmaJapanは、こういった地域やご家庭にも「つながり」は大切だと考え、こども食堂のない地域にキッチンカーを活用した拠点づくりをされ、行政や民間企業など多くの協力のもと成功し、民間の力を活用した災害時の機動的な対応について実践的かつ効果的な活動であることが確認できたそうです。
このほかにも、管理栄養士監修による災害時の献立づくりや、地産地消の備蓄缶詰づくりや、防災食体験イベントなど、「いつもがもしもに」を合言葉に、こども食堂を通じた防災活動をされています。
【ワークショップ 】
フェーズフリーな地域のつながりを考える
ワークショップでは、以下の質問を投げかけ、参加者みなさんに考え回答いただきました。
ぜひ、みなさんもこの質問に思考を巡らせてみてください。
Q.あなたの地域では、災害時にどんな地域の連携が考えられますか?
Q.それにより、どんな人の助けになりますか
【参加者の感想】
- 地域の居場所が必要と思っている方や地域の居場所に課題を感じている方が参加されている印象
- 災害時の地域連携先として「市役所・区役所」「町会・自治会」という回答が多かったが、地方と都市などの地域差もありそうだと感じた
- 日頃のつながり、顔の見える関係の大切さを感じられている方が多かった
- こども食堂が防災拠点となりうること、地域の居場所となりうることを知ってもらうことで、こども食堂の可能性を感じていただく機会になったのではないかと感じた
- こども食堂とは、誰でも行っていい場所だと思っていなかったので、今回のようにこども食堂のことを正しく知る機会が得られてとてもよかった。
【ぼうさいこくたいに参加して】
こども食堂運営者の方からは「自分のこども食堂で防災研修をやってみたい」「地域とのつながり作りのキッカケとしたい」とご相談をいただき、防災活動されている団体の方からは「今度地域で防災イベントをするので、こども食堂関係者へも周知してもっと地域に開かれたイベントにしたいので連携できないか・・・」など、当プロジェクトとしても新しい出逢いやつながりづくりをさせていただいております。
「防災」と「こども食堂」には多くの共通点があり、自分たちの日頃の活動を、防災の視点である「知る・備える・行動する」で見ると、さまざまな可能性が見えてきます。
私たちの考える「防災」は特別な事ではなく、自分一人ですることではありません。当プロジェクトではこれからも、みなさんと「無理なく出来る防災」や「日頃の活動が実は既に防災だった」など、つながりを意識した防災を考えて取り組む活動をしていきます。
特定非営利活動法人 U.grandmaJapanは、当ワークショップの他にも、以下のワークショップとセッションへ参加されました。
- 9月17日(日)わがまちうわじまの防災協働社会へのつながりづくり
- 9月18日(月)「防災×女性リーダー」で地域の防災力をアップデートする
来年(令和6年 第9回)の「ぼうさいこくたい」は、熊本県で開催となります。
イベント概要
日時:2023年9月18日(日)10時-12時 w-102
場所:神奈川県横浜市 横浜国立大学(神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79-1)
内容
・こども食堂防災拠点化プロジェクトとは
・地域諸事例紹介「特定非営利活動法人 U.grandma Japan」
・ワークショップ
主催:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
協力:特定非営利活動法人 U.grandma Japan
【こども食堂防災マニュアル】
当プロジェクトでは、こども食堂運営者の方向けに、こども食堂防災マニュアルを発行していますが、地域で活動される方や居場所運営、学習支援をメインにされている運営者の方にも参考にしていただいております。
よろしければご活用ください。
こども食堂防災マニュアル紹介ページ https://musubie.org/news/6312/
【こども食堂 防災研修開催レポート】
防災研修 開催レポート https://musubie.org/news_cat/bousai/
全国各地での開催レポートがアップされていますので、ぜひご覧ください。
「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?
そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。
また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え、備える機会として、防災研修や、さまざまな防災活動を支援提供しています。
この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出に寄与しています。
防災拠点化プロジェクト紹介ページ https://musubie.org/pickupproject/bousai/
本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、松崎、和泉)