子どもの気持ちや願いを理解するには、まず大人自身が、周りの人から自分の気持ちや願いをわかってもらえた時の心地よさを感じることから始めてみよう——
そんな思いから、むすびえでは「対話をみちびく手法を学ぶためのワークショップ」を企画しました。何気ない会話を通して、自分自身の気持ちを考えたり、相手の気持ちに思いを寄せたりといった、体験型研修会の様子をご紹介します。
「私たちの地域でも、こうした研修を開催してみたい」
そんなご要望がありましたら、
ibashonoanzen@musubie.org まで、ぜひご連絡ください!
<概要>
テーマ:暴力や対立を超えて対話をみちびく手法を学ぶワークショップ
日 時:2023年6月4日(日)9:00~12:00
会 場:ビジョンセンター品川(東京都品川区)
講 師:特定非営利活動法人ACE 成田由香子さん、坂口志保さん、杉山綾香さん
参加者:全国の地域ネットワーク団体およびこども食堂運営者 約30名
<内容>
はじめに、このワークショップで活用する対話手法のNVC(Nonviolent Communication :非暴力/共感コミュニケーション)とは何か、なぜこの対話手法が重要なのかについて説明がありました。
次に行われたのが、自分や相手の気持ちに共感しながら対話するワークのデモンストレーションです。
参加者全員が一か所に集まり、エピソードを話してくれる方を囲むかたちで行われました。エピソードの中では、運営者が一生懸命行っていることが、参加した保護者に受け入れられなかった時の、複雑な心境が語られました。それを聞いていた参加者の多くは大きくうなずき、共感の気持ちをもって耳を傾けている雰囲気に包まれました。エピソードを話してくれた方には、対話が進むうちに自分の中にある思い込みに気づく瞬間もありました。相手と気持ちがすれ違った時に、まずは自分自身の気持ちや願いに意識を向けてみることの重要性を感じる時間となりました。
そのあとはいよいよ、4名のグループに分かれてワークの実践です。ワークでは「感情カード」と「ニーズカード」を机に広げて、グループ内で話す人・聴く人といった役割を設定。話す人の思いや大切にしたい願いを想像してカードを選び、そのカードをもとに対話を深めました。
◎ワークショップの流れ
- 話す人:仕事上で気持ちが揺れ動いたエピソードを話す
- 聴く人:エピソードが起こった時に、話す人が感じた思いを想像し、感情カードを選ぶ
- 聴く人:その感情が湧き上がっている時の、話す人の大切にしたい願いを想像し、ニーズカードを選ぶ
- 話す人:3の中から、気になるニーズや自分の気持ちに合うニーズカードを提示する
- 聴く人:自分が選んだカードが4で提示された場合、選んだ理由を伝える
- 話す人:自分が持って帰りたいニーズカードを3~4枚選ぶ
- 話す人:選んだニーズが満たされた世界はどんな世界なのかを話す
ワークの中では、
「実は自分の中にこんな気持ちがあったんだと気づいた」
「自分の気持ちをわかってくれる人がいると思えてうれしかった」
といった感想が聞かれました。自分自身や相手の言葉の奥にあるさまざまな思いをじっくり味わうことを通して、各グループでお互いに共感しあう対話が生まれていました。
<参加者からの声>
「こうしたらいいんじゃない?って言いがちだし、ついつい言ってしまう部分があります。それがその人にとって一番最良の方法だと、こちらも思っているものだから、ついつい押しつけがちになります。相手の気持ちに寄り添うって難しい……。心掛けていてもなかなかできないものですが、こういうゲーム感覚で取り組めば考えられそうだなと思います。」
「自分の感情にふりまわされず、相手の人がなぜこんな言葉を発したのか、その人の何がそう言わせているのかを、考えることが大事だと思った。」
「普段の生活の中で、自分の気持ちに向き合うことがなく、モヤモヤしながらもそのまま過ごしてきたと思います。自分自身に大切なこと、また、受け入れることの大切さがよく理解できました。ありがとうございました。」