新着情報

子ども食堂×防災×地域 in 八王子 ~平時のつながりが災害時、力になる~ 開催レポート

日時:6月24日(土) <午前の部> 10 :00~ 11 : 30  <午後の部> 13:00~15:00
場所:浅川市民センター 体育館(八王子市)

八王子市社会福祉協議会での防災研修レポート

私たち「むすびえ」では、こども食堂への地域ネットワーク団体を通じた支援の一つとして、防災への取り組み「こども食堂防災拠点化プロジェクト」を行っています。 この活動の一環として、全国各地域でこども食堂防災研修を開催しておりますが、先日、社会福祉法人八王子市社会福祉協議会の主催で、むすびえ発行の“こども食堂防災マニュアル”を活用した防災研修会が開催されました。

八王子市では、2019年台風19号で浸水被害を経験しており、その体験の振り返りや、平時のこども食堂の活動を知ってもらう交流の他、実践的な防災訓練など、地域の防災力向上に寄与する活動として、こども食堂運営者のみならず、地域の人々を広く巻き込んだ講座と訓練でした。

取り組みの模様についてご紹介します。

< 午前の部 >
2019年台風19号の体験を振り返る


社会福祉法人八王子市社会福祉協議会ボランティアセンター長 井出 勲 氏

本日の会場である浅川地区は、2019年10月の台風19号で実際に浸水被害を受けた地域であり、当時の復旧活動の中から、地域でのつながりがとても大切であったという教訓を風化させないために、継続的に災害ボランティアセンター運営訓練を実施していきたいという想いと、日ごろのこども食堂の活動が「地域防災」という観点からも、有事にとても役立ったということを多くの方に知ってほしいという想いで、今回の開催に至ったとお話しされていました。

参加者、スタッフ総勢50名程度 台風19号による浅川地区浸水被害の記録動画(8分)を視聴しました。
浸水被害を受ける市街地(浅川地区)
平常時の浅川

防災マニュアルを使った講義


むすびえ 防災プロジェクトリーダー 森谷哲(防災士  / こども食堂運営者)

続いて、むすびえ(防災士)の森谷から、こども食堂についての簡単な説明と、こども食堂運営者向けの防災マニュアルを用いた講義を行いました。

今回の参加者は、こども食堂運営者以外にも、大学生や町会役員、民生員、地域の活動をしている方々など、多様な方に参加いただきましたので、こども食堂を正しく理解していただくために最新の情報も盛り込み、防災を意識した地域のコミュニティについてお話ししました。

防災マニュアルに沿った「こども食堂の防災」については、「①知る②備える③行動する」の3つのセクションでこども食堂ならではの備えや行動についてお伝えしました。
有事の情報について
携帯品や備蓄品について

また、自身がこども食堂を運営していて、地域防災に役立てることが出来た原体験をお話しし、こども食堂は平時の食支援だけではなく、地域の多世代が自由に行き交う交流拠点となることで、顔の見える関係が有事に役立つという防災の視点を意識したこども食堂の在り方についてお伝えしました。

実際に活動した運営者のお話し


フードバンク八王子 川久保 美紀子氏

被害が顕著であった浅川地区で災害ボランティアの方達、また、そこで暮らす子ども達へ何か出来ることは無いかと活動された内容をお話しされました。

災害ボランティアへは身体温まる豚汁の炊き出し、子どもたちへはこども食堂・子育てひろばの開催など、サポートすること、ケアの大切さを行動する事で伝える姿勢に「一人ではできないけれど、自分もみなさんと一緒ならできるかな」と思わせてくれるような、力強さを感じました。

また、日ごろからフードバンクやパントリー支援などで、困窮支援をされているからこそ、災害時ならば尚更困窮しているのではないかと、臨時のこども食堂を開催するために、各方面へ協力依頼をされるなど、日ごろの繋がりを活かした活動のお話しもされていました。

炊き出しの様子

一緒に臨時こども食堂を開催したボランティアさんから「何かしたかったけど、何をしたら良いかわからなかったから、声をかけてくれてありがとう」という声をもらい、日ごろからお互いが顔見知りだったり、声をかけられる関係性があったからこそ、活動ができたと振返り、お話しされていました。

その他、職員の方から、今年の5月に浅川地区で初めてこども食堂がオープンし、地域のコミュニティ活性化や、繋がり作りの一助となる活動がスタートしたことを報告し、より一層、地域を応援して欲しいとお話しされていました。

参加者からの声(アンケート結果から抜粋)


  • 「日頃の顔の見える関係を築いておくという点が改めて重要だと感じました。
    防災面だけでなく、地域のつながり、貧困の連鎖を止めるという点でもすごく重要な取り組みであると思いました。」
  • 「子ども食堂が貧困の子どものためにだけのあると思っていましたが防災のためや、つながりを持つためにも有効ということを知りました。」
  • 「あまりこども食堂について知らなかったのですが、平時だけでなく有事の際にも大きな力を発揮できるという、そのポテンシャルに驚きました。デイズフリーの知識の大切さについて気づきました。」
  • 「こども食堂開催中に被災する事を想定していなかった。今後、様々なことを意識して想定していきたい。」
  • 「平時のネットワーク構築が災害時の迅速な対応につながる事を再確認できた。子どもという共通の関心ごとを地域に取り組むことで、子どもを取り巻く周辺のネットワークが広がることもとても面白かった。」

< 午後の部 >
訓練の様子


午後からは、八王子市社会福祉協議会主催による災害ボランティア運営訓練が実施されました。この訓練には、浅川地区の町会自治会、民生委員、市役所の職員、消防団、大学生、市民など、総勢110名以上の方が参加されていました。

まずは座学にて社会福祉協議会・ボランティアセンターの役割・活動内容について理解を深め、その後、令和元年の台風19号による浅川被害動画を視聴しました。

(令和元年の被害の様子)
(訓練当日の浅川の様子)

こんなに穏やかな川が氾濫するとは想像できませんでした。
その後、ボランティアの受付から活動実施までの流れを「A班:運営側」と「B班:ボランティア側」に分かれ、実際に体験しました。

A班:災害ボランティアセンター運営班
継続災害ボランティアリーダーを中心に災害ボランティアセンターの運営を行う
センター立ち上げ・運営の一連の流れを訓練する。
受付・マッチング・送り出し・資材の4つのブースがあり、ボランティアが順番にブースを回ることでスムーズに誘導できるようになっていました。

B班:地域連携会議
・それぞれの関係機関の役割に対する理解を深める。
・関係機関と協力し、災害時ニーズの聞き取りの仕方について学びを深める。

C班:災害ボランティア体験班
災害ボランティアセンターの役割、社協についての講義を実施した後、災害ボランティアの体験を行った。

被災者宅を訪問し、土嚢袋6袋分の泥だしを行いました。

この訓練を続けることで、いざ災害が起きた時にスムーズに対応できるのはもちろんですが、色々な世代・立場の方が参加することで、地域での顔の見える関係作りに繋がっていると感じました。

後半はグループワークと振り返りです。一般社団法人災害協働サポート東京 事務局長 福田信章氏による総評も加わり、実践的で学びの多い訓練となりました。

 

イベント概要  

<午前の部>
開催日時:2023年6月24日(土)10:00~11:30
開催場所:浅川市民センター 体育館(東京都八王子市高尾町1652-1 )
講師:フードバンク八王子 川久保美紀子/むすびえ 森谷哲
内容:「こども食堂について/地域防災について」講義・訓練・交流

<午後の部>
開催日時:同日 13:30~16:00
開催場所:同会場
内容:八王子市災害ボランティアセンター運営訓練(浅川)

主催:社会福祉法人八王子市社会福祉協議会 市民力支援課(ボランティアセンター)
協力:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ


「こども食堂防災拠点化プロジェクト」とは?

そこに集う人々の安全確保はもちろん、通常時だけでなく、有事の際にも地域の安心、安全な場として存在できるように、こども食堂の防災力を高めることを目的としています。

また、こども食堂の主体的な防災活動につながるよう、それぞれのこども食堂に「私たちに出来る防災」「地域みんなの防災」について考え、備える機会として、防災研修や、さまざまな防災活動を支援提供しています。

この活動を通して、地域における交流拠点(こども食堂)の認知向上と、つながりを再確認する機会の創出に寄与しています。


こども食堂での防災研修、訓練をお考えの際は、是非ご相談ください。
また、この研修の一部は、東京新聞社に取材いただき紙面掲載されました。
併せてご覧ください。

「子ども食堂の災害対応学ぶ 八王子で講座」(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/259123

本件に関するお問合せは、下記メールアドレスまでお願いします。
bousai@musubie.org(担当:森谷、和泉)

新着情報一覧へ
トップへ戻る