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「絵本とのふれあいで、子どもと大人の心を繋ぐ」~株式会社講談社~

おはなし隊

―― プロジェクトの概要

講談社の「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊(以下、おはなし隊)」の活動は1999年にスタートしました。2台のキャラバンカーが約550冊ずつの絵本を載せ、それぞれが1カ月に1つの都道府県を巡ります。30分は絵本の読み聞かせ、30分は自由閲覧の時間で、好きな本を読むことができます。対象は2歳ぐらいから小学校低学年ぐらいまでで、全国の幼稚園や保育園、小学校、さらには図書館や書店などで活動してきました。これまでに全国2万3000カ所以上を訪問してきましたが、コロナ禍で活動を休止。再開にあたり、おはなし隊の活動について改めて考えていたところに、新たな訪問先として浮かび上がったのがこども食堂です。こども食堂のような地域の居場所での活動は、おはなし隊にとって初めての取り組みでした。そこで、むすびえと共にこども食堂での活動について検討を重ね、2022年7月に宮城県と岩手県のこども食堂への訪問が実現しました。以降、愛知県や大阪府での活動へと続いています。

当プロジェクトを担当されている広報室の丸山紀子さん、藤安里さん、佐藤陽子さんにお話を伺いました。

広報室おはなし隊ご担当者様広報室おはなし隊担当のみなさん
(前列左から、丸山紀子さん、藤安里さん、佐藤陽子さん、大瀬伴子さん。後列左から、清水文徳さん、綾木均さん)

―― 支援しようと思ったきっかけを教えてください。

スタート以来23年間、毎月全国各地を回ってきたおはなし隊でしたが、コロナ禍に入り活動を休止していました。再開を検討する中で、新たな候補の場所として挙がったのがこども食堂です。というのも、おはなし隊はコロナ禍前までにすでに全ての都道府県を10周以上訪れていたため、もう少し訪問先の幅を広げたいと考えたのです。そもそも絵本は子どもたちだけのものではありません。もちろん、おはなし隊の活動をメインで届けたいのは子どもたちですが、大人やシニアの方にも絵本を楽しんでもらいたいという思いは当初からありました。幅広い世代が集まる地域の居場所として、こども食堂での開催はおはなし隊の主旨にもぴったりだと思ったのです。開催にあたっては、むすびえのみなさんに相談し、検討を進めていきました。こども食堂への支援というよりは、あくまでもこれまでの活動の延長として、こども食堂での開催を捉えています。

―― 支援に対しての想いや、実際支援している中で感じていること、具体的なエピソードなどを教えてください。

実際に開催してみると、こども食堂がいかに地域の方々に支えられているかということを実感しました。おはなし隊は、読み聞かせをするスタッフとドライバーの二人でお伺いすることも多く、ごく少数のメンバーでやっています。こども食堂に伺った際は、そこに集まる地域の方々が設営を手伝ってくださったり、みなさんで盛り上げてくださったりして、とてもありがたかったです。そして、何よりも印象に残ったのが子どもたちの素直な反応です。通常、幼稚園や保育園で開催する際には、どうしても子どもたちがお行儀よくなります。一方、図書館や書店の場合は、お家の方と楽しむ雰囲気になります。こども食堂はその中間というか、子どもたちがよりのびのびとできる場所なのかなと感じました。地域の大人やお友達など、緩やかに繋がる関係性の中で絵本を楽しんでいる様子が心に残っています。

そして、地域の方に見守られながら安心して過ごせる場所の大切さにも気づかされました。子どもたちにも一人ひとりに個性があって、公教育では十分に見てあげられない子もいます。こども食堂には、そうした子どもたちを受け止める役割もあることを感じました。また、本に接する機会がどれだけあるかというのも、家庭によってさまざまです。「うちの子がこんなに本を好きだとは知らなかった」という保護者様の声も聞かれました。帰りに「ありがとう」と手を振りながら、キャラバンカーを追いかけてくれる子どもたちを見ていると、本当にやってよかったと思いましたし、逆にこちらが元気をもらいましたね。

―― 今後こども食堂やむすびえとどのようにかかわっていこうと考えていらっしゃいますか。

子どもの人口も多い首都圏での活動を増やしていきつつ、全国への訪問も引き続き行っていきたいと考えています。また、キャラバンカーが入れるこども食堂は限られてしまうので、開催方法もいろいろな形を検討したいです。
届けたいのは読書の付加価値。たとえば、本を読む時間で感じた地域の方のぬくもり。あるいは、遊びや食べることなど他の体験と結びつくことで、読書もより厚みのある体験になっていきます。これまでの活動に比べて、より多様な方が集まるこども食堂だからこそ、読書だけではない付加価値を届けていきたいと思います。

―― むすびえメンバーより

これまで20年以上活動されている「おはなし隊」の活動対象に、こども食堂を加えていただき心から感謝しています。こども食堂運営者の方から、『(ご自身が)小学生だったころ、おはなし隊のキャラバンカーが来てくれて、心がときめいたんです!』といった声をいただき、世代を超えて思い出がつながっていくのを感じています。今後も全国の子どもたちに素敵な読書体験を届ける活動にご一緒できたらうれしい限りです。

おはなし隊(自由閲覧)

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