【こども食堂応援団インタビュー】
こども食堂は今年2022年、誕生から10年を迎えました。東京都・大田区ではじまったこども食堂は、この10年で全国に広まり、現在6,000箇所を超えています。
むすびえは、これまでご支援いただいた企業・団体の皆様をこども食堂応援団とし、ご支援の取り組み、そこに込められた想いについて伺いました。
こども食堂10周年を契機に、さらに大きな支援の輪が広がっていくように願っています。
―― プロジェクトの概要
三菱商事とこども食堂との関わりは、2020年頃に遡ります。2019年、むすびえでは全国に3700カ所あるこども食堂を、2025年までに2万カ所に増やす「さくらプロジェクト」を策定していました。2万カ所というと、全小学校区に少なくとも1つ以上のこども食堂がある計算になります。三菱商事は、2020年12月より本プロジェクトへの支援を通じて、こども食堂を支えてきました。プロジェクトでは、地域社会における弱者サポートなどのために、こども食堂の機能・役割がどのような効果をもたらし、どのようなインパクトを作り出しているかの調査、測定、分析等を実施しました。さらに、その結果を政府・行政・運営者・支援団体など、こども食堂に携わる関係者と共有するとともに、こども食堂の増加に向けた働きかけを行ってきています。また、三菱商事は本プロジェクトの支援と併せて、こども食堂の運営に社員をボランティアとして派遣してきました。
―― 支援しようと思ったきっかけを教えてください。
次世代を担う子ども達がさまざまな事情で必ずしも十分な食事を摂れていないという実態が社会課題としてクローズアップされていた際、むすびえが2025年までに全国に2万カ所のこども食堂の設立を目指していることを知りました。その後、むすびえに問題意識を直接お聞きし、さくらプロジェクトが立ち上がることが判り、ぜひお役に立ちたいと考えました。こども食堂への支援は、当社の社会貢献活動の3軸「インクルーシブ社会の実現」「次世代の育成・自立」「環境の保全」のうち、前者2軸と合致します。むすびえへの支援がわが国の社会課題の解決に繋がると考え、支援の話が進んでいきました。また当社では社会貢献活動において、社員一人ひとりが自発的に参加して汗を流すとともに、継続して活動に取り組むことを重視しており、金銭的な支援だけではなく、ボランティア派遣も開始することにしたのです。
―― 支援に対しての想いや、実際支援している中で感じていること、具体的なエピソードなどを教えてください。
コロナ禍の影響で計画通りに進んでいない面もありますが、それでも社会課題解決に対して問題意識の高い社員を中心に、昨年からボランティア派遣を始めることができました。昼休みにセミナーを開催したことで、これならできそうだという感覚を持ってもらえたようです。通勤経路で開催されるこども食堂のボランティアに参加した社員が多く、リピートして活動している社員もいます。私も実際にボランティアを経験した一人です。私が参加したこども食堂はいわゆるバーで開催されており、そうした場所で開かれていることも意外でした。感染拡大防止のためにお弁当を配るというスタイルでしたが、時間になるとひっきりなしに人が訪れ、地域に浸透していることを実感しました。風船を用意して子どもたちに配るなど工夫がされており、運営されている皆さんの心遣いが多くの人に届いているのだと思いました。来られていたのはお母さんが中心で、手作りのお弁当をとても喜ばれていたことを覚えています。暑い時期だったので誘導をするだけでも一苦労で、あっという間の3時間でした。他のボランティアの方と話をすると、「社会が良くなるようにやっている」と話される方が多く、頭が下がる思いでした。お弁当作りから配布や誘導など、たくさんのボランティアの方が協力し合って、こども食堂をつくられていることに感銘を受けましたね。業務を離れて、地域社会に接することの大切さを感じました。
―― 今後こども食堂やむすびえとどのようにかかわっていこうと考えていらっしゃいますか。
今日インタビューを受けてみて、ボランティアに行った時の思いが改めて思い起こされました。当社では他にもボランティア派遣を行っているのですが、ボランティアに参加した後には仕事へのコミットメントが強化されたり、会社へのロイヤリティが向上したりするというような結果が出ています。こども食堂へのボランティア派遣も同様の効果があると考えており、感染状況を見ながらではありますが、ボランティアの数をもっと増やしていきたいと思います。2025年までにこども食堂を2万カ所設立するという目標に向け、引き続き支援を継続していきたいと考えています。
―― むすびえメンバーより
こども食堂が全国に広がりながらもまだその実態が明らかになっていない時期に、そしてむすびえも創設されて間もない時に、三菱商事さんからの複数年度の事業をご支援いただけることになったのは、資金のご支援だけでなく、私たちの活動への信用力にもつながるなど本当に大きな力になりました。また、調査の現場にも社員の皆さんが積極的に参加をしてくださり、こども食堂の運営者の話に耳を傾けてくださる姿勢に大変感銘を受けています。さらには、調査へのご支援や社員ボランティアの派遣のみならず、社内向け講演会、こども食堂基金(助成事業)へのご支援、関係する企業様のご紹介など、多岐にわたる機会をいただいていることを光栄に思いながら、今後もパートナーシップの関係性をより深めていき、持続可能な社会づくりを共に進めていきたいと考えています。