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「歯みがきの体験を通して子どもたちの健やかな成長に寄与する」 〜ライオン株式会社 〜

―― プロジェクトの概要

インクルーシブ・オーラルケアを社会課題の解決と位置づけ、推進してきたライオン株式会社。130年続く社の歴史の中で、「日本の子どもたちからむし歯をなくしたい」という強い思いから、啓発のためのさまざまな活動に取り組んできました。現在は「おくちからだプロジェクト」と題し、「こども食堂」にて、「歯みがき」や「歯と口の健康」をテーマにした体験プログラムを提供しています。オーラルケアをテーマとした「ダンス」、クイズを交えながら歯と口に関する基本的な知識を習得できる「紙芝居」、歯と口の基本的な知識習得に加えて子どものうちからケアする習慣のきっかけを作るすごろくゲーム「はごろく」、歯みがきが楽しくなるきっかけを作るMy歯ブラシ作り「デコ歯ブラシ」など、プログラムは子どもたちが“楽しく遊び学ぶ”ことができるよう、オリジナルで開発。また、歯みがき習慣が定着するようにご自宅での歯みがきを促進する歯みがきカレンダーが付いている持ち帰り用のチラシ「おくちからだ通信」をお土産としてお渡ししています。歯の健康を通じて歯みがきの習慣作りをサポートするだけでなく、子どもたちの自己肯定感向上に寄与できる取り組みを目指しています。2021年9月のスタートから現在までに226団体、約1万8千人分の体験キットが提供されています。

当プロジェクトの主管部所である、サステナビリティ推進部長の小和田みどりさんにお話を伺いました。

―― 支援しようと思ったきっかけを教えてください。

オーラルケアは全身の健康に大きく関係しています。正しいオーラルケアにより年間の医療費が削減できたというデータもあります。「すべての人にオーラルケアを」というのは創業当初からの命題でしたが、正しい情報を知らないがゆえに子どもの歯みがきに関与できていない家庭に対しては、これまできちんとアプローチできていませんでした。食べることと歯みがきはとても近い関係にあります。こども食堂でご飯を食べた後の行動として、正しい知識を理解し習慣化していってくれたらと、こども食堂を通じて歯みがきの大切さを伝えることに思い至りました。
また近年、大人とのコミュニケーション不足や褒められる体験の乏しさなどから、自己肯定感が低下傾向にある子どもたちについても、課題に感じています。そこで、歯と口の健康を通じて、歯みがき習慣の先にある子どもたちの自己肯定感にも寄与できる取り組みをしたいと、体験型のプログラムを提供することにしました。

―― 支援に対しての想いや、実際支援している中で感じていること、具体的なエピソードなどを教えてください

こども食堂を地域に広く開かれた場にしていく取り組みはとても素晴らしいと思います。いろいろな人が気軽に来られる第三の場所の存在は大切だと感じますし、地域との関係が年々希薄になる中で、学校と自宅だけでなく相談できる場があるのは、親にも子どもにとっても支えになっていると思います。
一方で、こども食堂の存在を知らない、何が行われているかわからない、出向くことでレッテルが貼られてしまうかもしれないなどの理由から、足を運べていない家庭があることも、活動を通して知りました。こども食堂が経済的困窮家庭だけでなく、誰でも集える場なのだという正しい理解が深まり、もっとオープンな場所になっていけば、同時にオーラルケアの対象からこぼれ落ちていた人たちをすくい上げることもできるのではないかと考えています。
実際に現場で子どもたちと接していると、こども食堂で知った歯みがきの知識を子どもから親へ伝えているケースもあると聞きました。こども食堂での取り組みが、子どもを通して家庭全体の意識を変えるきっかけになっていくのでは、と期待しています。
私たちの活動は、個々のこども食堂にアプローチする方法では相当な時間がかかってしまいますが、中間支援をされているむすびえさんの力を借りることで面展開できているという現実があります。むすびえさんへ支援をしているというより、むすびえさんに私たちの活動を支援していただいているといつも感じています。

―― 今後こども食堂やむすびえとどのようにかかわっていこうと考えていらっしゃいますか。

まずは約6000箇所あるすべてのこども食堂にアプローチできればと思っています。当社は全国に拠点があるため、直接訪問できるところに向けては社内ボランティアによる活動を計画しています。現在、こども食堂に協力いただきながら検証を行い、ボランティアのマニュアルを作成して教育体制を整備しています。嬉しい事にボランティア参加の希望者が多く、順次応募枠の対象エリアを広げて全国に展開していきたいと考えています。また、当社だけでなく社外の参加者も巻き込んでプログラムを展開しようという構想もあります。
プログラムについては、随時改訂をしています。歯ブラシを自分の好きなようにデコレーションしている時の子どもたちのキラキラした目や、夢中でつい前のめりになる姿、出来上がったときに喜ぶ様子を間近で見ていると、プログラムのメニュー作りにも精が出ます。これらが歯みがきの習慣化だけでなく、これからの日本を支える子どもたちの笑顔を作るきっかけになれば、と思っています。

―― むすびえメンバーより

ライオン株式会社のみなさんは、こども食堂に直接訪問して手ごたえがあるか確かめながら進めてくださり、プログラム開発を商品開発と同じレベルで取り組んでくださいます。子どもたちがとても楽しくプログラムに参加して、盛り上がっている様子は毎回楽しみです。運営者のみなさんも「歯みがき」に関心が高い方が多いのでとても好評です。これからも多くの社員のみなさんが活動に参加してくださろうとしている、心強い応援団です。

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