★(2022年2月10日追記)全国箇所数調査の確定値の発表をさせていただきました。最新版についてはこちらをご覧ください。
https://musubie.org/news/4792/
★(2022年3月15日追記)こども食堂実態調査の確定版を発表をさせていただきました。最新版についてはこちらをご覧ください。
https://musubie.org/news/4881/
こども食堂の支援を通じて、誰もとりこぼさない社会の実現を目指している「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)」(理事長:湯浅誠、社会活動家・東京大学特任教授)は、2020年12月に発表した箇所数調査から約1年、全国のこども食堂地域ネットワーク団体等の協力を得て、最新の調査結果をまとめました。その結果、全国のこども食堂は6,000箇所を超えていることがわかりました。コロナ禍でも少なくとも1,000箇所以上増えたことになります。
むすびえは「こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整える」ことをミッションとしており、2025年には、全小学校区(現在19,032校。文科省「令和3年度学校基本調査」による)に対して1つ以上のこども食堂がある状態を目指しています。本調査は、その実現のための調査研究事業として、2018年より毎年行なっています。
本調査は、むすびえが、全国のこども食堂地域ネットワーク団体、県庁、県社会福祉協議会など、こども食堂に関わるあらゆる関係者にご協力いただいて実施したものです(2021年10月〜12月)。必要に応じて、個々の市町村・社協に電話をかけて確認することもありました(都道府県ごとの回答者は別表1参照)。
ただし、自治体等への届出を要しない民間活動であることから、すべてを網羅できていない可能性は残ります。その意味で「少なくともここまでは確認できた」という数字になります。
こども食堂の箇所数は2020年より1,047箇所増え、6,007箇所となった。
昨年度2019~2020年の1,242箇所増に次いで過去3番目の増加数でした(調査対象期間を加味した単月あたり増加数では過去2番目)。
もっとも箇所数が多いのは、東京都(747箇所)、次いで大阪府(470箇所)、兵庫県(373箇所)。上位2都府は2020年と変わらず、上位3番目は神奈川県から兵庫県になりました。逆に、もっとも箇所数が少ないのは、富山県(24箇所)、秋田県(25箇所)、島根県(25箇所)でした。
また、小学校区に対するこども食堂の充足率は、沖縄県(52.85%)、次いで滋賀県(47.71%)、鳥取県(42.74%)が上位となりました。一方、充足率が低いのは、秋田県(9.39%)、島根県(10.15%)、岡山県(10.16%)でした。
増加率で1位だった徳島県の徳島こども食堂ネットワーク代表佐伯雅子氏は、箇所数調査の結果を受けて、次のようにコメントしました。
徳島県では従来、保健所の厳しい指導の影響もあって「こども食堂」と名乗れずに実施していたところが複数あり、昨年は箇所数最下位と大変残念な結果になっていました。今年も、コロナの影響で、公民館やコミセンなどを使ってのこども食堂が開催できずにいるなどこども食堂の方たちのモチベーションが心配でした。
しかし、運営者ら53人が入るLINEグループで意見交換を積極的に行っており、互いに励まし合う関係ができています。今年は、既存や新設のこども食堂の応援を充実できるように、と他団体傘下の一部門だった「こども食堂ネットワーク」を独立、NPO法人化しました。他県でのフードパントリー等の取組みを参考に、こども食堂の負担にならないように食料品集めなどにもネットワーク団体として尽力しました。
県下のこども食堂数は依然として多くはありませんが、こうした取組みが、潜在的に意欲を持っておられた方たちが「自分もできるのでは」と意を強くすることにつながり、この結果に結びついたのだとしたら、こんなにうれしいことはありません。
今後も、こども食堂の方たちが「悩んでいるのは自分たちだけではない」と思いを分かち合えるようなつながりを大切にしていきたいと思います。
(徳島こども食堂ネットワーク代表 佐伯雅子)
他地域の受け止めコメントは添付資料を、ご覧ください。
また、むすびえでは、全国箇所数調査に加えて、こども食堂の実態や活動の発展に関する情報をできるだけ正確に把握して地域社会に伝えていくために、全国調査を実施しました。本リリースでは、速報を発表します。
多世代交流拠点としてのこども食堂
こども食堂は、しばしば「食べられない子が行くところ」「子ども専用食堂」と言われてきましたが、今回の調査結果からは、多世代交流や地域づくり・まちづくりも多くのこども食堂の基本的性格になっていることがわかりました。
調査結果を概観すると、こども食堂の主な目的として6割近くが「多世代交流」を挙げており、過半数が「地域づくり・まちづくり」も含めています(Q5)。実際の活動をみると、7割近くが「多世代交流」にかかわる活動を行っています(Q14)。
またほとんどのこども食堂が「子どもの食事提供」「子どもの居場所づくり」を目的としているものの、子どものみの参加に限ったこども食堂はわずか4%でした(Q6)。つまり、ほとんどのこども食堂は、子ども以外の年齢層の人たちを幅広く受け入れており、様々な年代の人たちとの交流が実現しやすい場になっていると考えられます。実際に、8.5割程の食堂で「大人」の参加があり、6割近くで「高齢者」も参加しています(Q7)。この他、9割以上が自治体住民に限っていないこともわかりました(Q6)。
幅広い年齢層が利用者として参加しているだけでなく、ボランティアなどの運営スタッフとして参加していることも特徴です。7割以上で「高齢者」が、また3割以上で17歳以下の子どもが運営に関わっています(Q15)。
このように、多くのこども食堂は、幅広い年齢層が多様な形で参加する多世代交流の場になっています。
その他、コロナ禍での活動や他団体・他機関との連携についての速報を発表しています。詳細は、添付資料をご参照ください。
【調査の概要】
回答期限:2021年10月15日(金)から12月15日(水)
回答対象:こども食堂 を運営する代表者(または代表者に準じる方)および回答時点で活動を休止している方または終了した方
回答方法:Webアンケートまたは質問票での回答
回答数:47都道府県 1284件 (※12月15日時点の回答数)
実施:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
協力:地域ネットワーク団体、自治体
【調査の内容】
調査項目:26項目(選択回答及び記述)
主な項目:活動状況、運営主体、所在地、開始時期、活動目的、参加条件、参加人数、配慮を要する子どもの状況、開催頻度、開催日時、開催場所、食事の提供方法、活動内容、地域づくり活動、運営スタッフ、運営費
こども食堂同士の連携、専門職の関わり、周知・広報等での行政・社会福祉協議会・学校等との連携、専門職への相談経験ほか参考:農林水産省の調査(2017)や令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)の調査(2021)等を参照
なお、2021年全国箇所数調査ならびに第1回全国こども食堂実態調査の実施にあたっては、地域ネットワーク団体およびこども食堂、自治体関係者等に多大なるご協力をいただきました。改めて、感謝申し上げます。
【添付資料・プレスキット】
資料0:もっともお伝えしたこと
資料1:こども食堂全国箇所数調査2021結果(速報値)のポイント
資料2:都道府県別箇所数・充足率一覧
資料3:各県コメント
別表1:回答主体と内訳(充足率・人口比)
別表2:調査指標別 都道府県順位
資料4:第1回全国こども食堂実態調査結果(速報値)のポイント
資料5:第1回全国こども食堂実態調査結果(速報値)詳細
プレスキット(むすびえロゴデータ、箇所数調査結果グラフ、こども食堂の広報用の写真)につきましては、こちらからダウンロードが可能です。報道関係者のみこのデータをダウンロードしてメディアでの発信にご活用ください。(このデータは、2021年12月27日までの公開とさせていただきます。)
→ プレスキットは、非公開といたしました。上記データが必要な報道関係者の方は、以下【お問い合わせ先】にご連絡をお願いいたします。
【認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ】
代表者 : 理事長 湯浅 誠(社会活動家・東京大学特任教授)
所在地 : 東京都新宿区西新宿1丁目20番3号 西新宿髙木ビル7階
設立:2018年12月(2021年5月認定NPO法人取得、10月グッドガバナンス認証取得)
むすびえは、ビジョンである「全国に広がるこども食堂を通じて誰も取りこぼさない社会をつくる」ために、こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整え、こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるように活動しています。具体的には、こども食堂の実態を明らかにし普及・啓発する調査研究、各地域のこども食堂ネットワークを支援する地域ネットワーク支援事業、企業・団体とこども食堂支援を行う企業・団体との連携事業を行っています。
コロナ禍では「新型コロナウィルス対策緊急プロジェクト」を立ち上げ、食材等の寄付を呼びかけ、その後、こども食堂の資金支援をするために「むすびえ・こども食堂基金」を創設し、2020 年4月から12 月までの半年で674 団体に対して総額1億2千万円を助成しました。他にも、のべ約9千カ所に物資を届け、金額に換算すると約2億7千万円の支援を仲介。また、感染症に詳しい小児科医の協力を得て「こども食堂・フードパントリー開設簡易ハンドブック」の発行、動画「地域みんなで子どもを育てるためにこれならできる with コロナ時代のこども食堂」の制作、個別相談会の開催などを実施しながらこども食堂の活動をサポートしています。
【こども食堂について】
地域食堂、みんなの家などという名称にかかわらず、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂。「子どもの貧困対策」と「地域交流拠点」の2つの大きな軸があり、制度の裏付けはありませんが、箇所数は6,007(2021.12発表。むすびえ、地域ネットワーク団体調べ)あることが明らかになってます。(参考:全国の小学校は約2万校、中学校は約1万校、児童館は4,000カ所。)
【お問い合わせ先】
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 理事長 湯浅誠
ホームページ:www.musubie.org
問い合わせメール:kodomo@musubie.org