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[お知らせ]むすびえの「ハラスメント防止規程」を制定しました

むすびえではこのたび、事業を推進するプロジェクトリーダーに対してハラスメント研修を行うとともに、「ハラスメント防止規程」を制定しました。そして、むすびえ内で起こるハラスメントに対応する窓口を整えました。

▼ハラスメント防止規定

https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2021/09/6c7657434f3048e539eac59c538dc807.pdf

本来、このような基本的な体制は、団体発足とともにより早期に着手されるべきものですが、設立3年を経過してからの対応となったこと、反省しています。事業の遂行が第一となって、そこに力を割くあまり、こうした内部の体制整備が後手に回ってしまったというのが実態です。

こども食堂に関わる人々にとって、ハラスメントはとても身近な課題だと認識しています。老若男女を広く受け入れる場で、年齢・性別はもちろん、さまざまな考え方の人たちが集うからです。敷居低く、すべての人を受け入れようとすれば、結果的に子どもの教育やしつけ、ジェンダー、マイノリティとされる人たちへの感じ方・受け止め方についての考え方も肌感覚も多様な人たちが同じ空間に居合わせることになり、悪気なく言った一言で誰かが傷ついたり、感じ方や考え方の違いが「ハラスメント」に発展(悪化)しかねないおそれがあります。

そうしたリスクを抱えながらも、それでも大多数のこども食堂のみなさんは「誰も排除しない居場所」を目指されているし、私たちもその考え方を尊敬し、むすびえもそうありたいと願っています。そのためには、みんなを受け入れていくことと、ハラスメントを起こさない、許さないことの両立を団体の共通了解、そして文化として根付かせる必要があり、それはとても難しいことですが、チャレンジしていく必要のあることと受け止めています。

今回の窓口整備は、ささやかながら、その第一歩です。

むすびえでもっとも加害者リスクが高いのは、他ならぬ理事長の私です。理事長という団体のトップであり、ほとんどのメンバーよりも歳上の50代であり、かつ男性だからです。そうした諸属性に対してどれだけ「圧」を感じるかには受け取る側の個人差があるものの、一般的には「フラット(水平的)に話したつもりでも、相手は上から(垂直的)と受け取る」という事態になりやすく、結果的にパワハラ等の加害者リスクがもっとも高くなります。むすびえ内でも「その言い方だと、湯浅さんは『どう?』と相手の意向を聞いただけのつもりでも、相手は『やれ』と指示されたように受け取る」と指摘されたことは、一度ならずありました。

職場のパワハラは、厚労省によって以下のように定義されており、「客観的にみて」「適正な業務指示や指導」であればもちろんパワハラには該当しませんが、それでも何が客観的で、何が適正かの判断には、主観の入る余地が大いにあります。結局は違和感を抱いたときに「違和感があります」と言えるかどうか、理事長の私からすると「言ってもらえるかどうか」が、ハラスメントを起こさないための最大のリスクヘッジということになり、このような団体文化の醸成はハラスメント窓口を整備したらリスクがなくなるといった性質のものではありません。その意味で、自分の課題として考えても、ささやかな一歩だと感じます。

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

厚労省「あかるい職場応援団」HP

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about

むすびえとしての私たち自身の努力を進めていくことはもちろんですが、こども食堂がハラスメントの起こらない、みんなが安心して過ごせる空間になることも重要だし、ゴールは社会全体がそのような空間になることだと思います。そのためには、人と人が寄り添いあったり、配慮しあったり、学び合ったり、育ちあったりすることが、関係性の基本、暮らしのスタンダードになる必要があり、それはおそらく「ハラスメント対策」と名前がつくもの以外の膨大な取組みを要するし、私たちの側からすれば、むすびえのビジョンとミッションの実現は、間接的にハラスメントの起こらない社会を作ることにも資する、ということになります。

そのような見通しと思いを持って、今後もハラスメント対策の充実に取り組んでいきたいと思います。

2021年9月17日

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

理事長 湯浅誠

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