「こども食堂の現状&困りごとアンケート」最新調査結果報告
9月時点の「一堂に会してのこども食堂」の開催は24.0%。
「予定が立たない」と回答した団体は、48.0%へと増加。
NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)では、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、全国のこども食堂の現状と困りごとを聞くアンケート調査を行なっています。
今回、緊急事態宣言下で行なった第1回(4月13日~17日実施)、緊急事態宣言解除後すぐに実施した第2回(6月19日~25日実施)に続く、第3回の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
本アンケート調査実施については三菱商事株式会様からのご支援を受けて、実施いたしました。こども食堂への深いご理解に感謝申し上げます。
こども食堂の現状&困りごとアンケート調査結果のダウンロードはこちらから。
【調査概要】
回答期限:2020年9月20日(日)~28日(月)
回答対象:各地の「こども食堂の地域ネットワーク」および「こども食堂ネットワーク」とつながるこども食堂(むすびえの「地域ネットワークメーリングリスト」と「こども食堂ネットワークのメーリングリスト」から回答を呼びかけ)
回答数:39都道府県 342軒
実施:NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、こども食堂ネットワーク
【調査内容】
第1部:こども食堂の現状&困りごとアンケート vol.3
・9月時点のこども食堂の開催状況
・一堂に会してのこども食堂の再開時期
・こども食堂の参加人数
・こども食堂の活動費用
・こども食堂での困りごと
第2部:こども食堂の「ITインフラ&イベント」についてのアンケート調査
・こども食堂にあるインターネット機器
・こども食堂のインターネット利用環境
・開催情報などの主な連絡通知方法
・タブレット端末などIT機材の支援について
・こども食堂で行なう(行ないたい)イベントについて
【アンケートからわかること(一部抜粋)】
・6月の同内容と比べると、こども食堂の開催(「これまで通り」「これまでと異なる形」ともに)増加傾向にある。しかし、7、8月の新型コロナウイルスの全国的な感染拡大によって、やはり活動の中心は「お弁当の配布」や「食材等の配布(=パントリー)」になっている。
・9月時点の一堂に会してのこども食堂は、24.0%。10月から再開(6.1%)を合わせると、10月現在では3割ほどの開催状況となっている。
・6月時点の「予定」と比べると、7、8月の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、再開が難しくなっているところも多い。「予定が立たない」は、6月時点の38.7%から48.0%へと増えている。
・6月と同様、「感染対策」がいちばんの困りごとになっている。対策つくしても「不安」があるという声が少なくない。
・会場が使用できないのは、特に公的施設(公民館等)が多い。また、会場は借りられるものの、人数制限や会場内でのソーシャルディスタンスの確保に苦労されてる。
【むすびえ理事長湯浅誠より、アンケートの自由記述を受けて。】
人に喩えて言うと、疲れが体の芯に達しつつある――全国のこども食堂から寄せられた「困りごと」を通読した感想を一言でいうと、そうなります。
ヒト(ボランティア)・モノ(場所)・カネ(資金)という活動の基本3要素すべてにわたる困り感を抱えているこども食堂が増えました。活動のベースが揺らいできている印象を受けます。がんばって活動を続けてきたが、そろそろ厳しい、というため息が聞こえてくるようです。人と人のつながりを通じて地域のにぎわいを作り出してきたこども食堂という灯火が、withコロナの長期化の中で細っていくことがないよう、一人ひとりが自分にできることを考えられればと思います。
むすびえでは3月以降、コロナ禍においてもさまざまな試行錯誤を重ね、活動を継続されているこども食堂運営者の「声」に寄り添った支援を続けてきました。引き続き、コロナ禍におけるこども食堂の活動を支えるために、食材の提供、寄付を集め、「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」ビジョンの実現のため取り組んでいきます。
■企業等からの食材等の提供の呼びかけについて。
https://musubie.org/news/2073/
■個人・法人からのご寄付はこちらから受付ています。
https://congrant.com/project/musubie/1476
ぜひ、継続したこども食堂を支える活動を、ご支援ください。
なお、本アンケート結果を受けて、新たに取組む企画も発表予定(11月中旬)です。
■こども食堂について
地域食堂、みんなの家などという名称にかかわらず、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂。「子どもの貧困対策」と「地域交流拠点」の2つの大きな軸があり、制度の裏付けはないが、箇所数は3,718(2019.6発表。むすびえ、地域ネットワーク団体調べ)あることが明らかになっている。(参考:全国の小学校は約2万校、中学校は約1万校、児童館は4,000か所。)こども食堂の認知は8割を超えている一方で、実際に行ったことある子どもは1割に満たないこともわかっている。
コロナ禍では「居場所」としての開催はできなくても、日頃からのつながりをいかし、食材や弁当等を配布するフードパントリー等の活動を行ない、子どもたちの健やかな成長をやさしく見守る地域活動として、全国にその様子は報道された。
■全国こども食堂支援センター・むすびえについて(理事長・湯浅誠)
当団体は、ビジョンである「全国に広がるこども食堂を通じて誰も取りこぼさない社会をつくる」ために、こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整え、こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるように活動している。具体的には、こども食堂の実態を明らかにし普及・啓発する調査研究、各地域のこども食堂ネットワークを支援する地域ネットワーク支援事業、企業・団体とのこども食堂支援を行う企業・団体との連携事業を行なっている。
コロナ禍では3月5日に「新型コロナウィルス対策緊急プロジェクト」を立ち上げ、食材等の寄付を呼びかけ、その後、こども食堂の資金支援をするために「むすびえ・こども食堂基金」を創設し、2020年4月から9月までの半年で585団体に対して総額1億円を助成した。他にも、感染症に詳しい小児科医の協力を得て「こども食堂・フードパントリー開設簡易ハンドブック」の発行、個別相談会の開催などを実施しながらこども食堂の活動をサポートしている。https://musubie.org/
【添付資料】
全国のこども食堂の現状と困りごとを聞くアンケート調査(第1回)https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/04/musubie_Q_sheet_0423.pdf
全国のこども食堂の現状と困りごとを聞くアンケート調査(第2回)https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2020/07/musubie_Q2_sheet_0713.pdf
【本件に関するお問い合わせ先】
全国こども食堂支援センター・むすびえ
kodomo@musubie.org
担当:釜池