認定NPO法人
全国こども食堂支援センター・むすびえ

“居場所”をもっと心地よく 。ALIAこども応援プロジェクトがつなぐ、支援の輪②


11月22日(土)、一般社団法人リビングアメニティ協会(以下、ALIA)は、むすびえが協働し展開する「ALIAこども応援プロジェクト」の一環として、DAIKEN株式会社のみなさまとともに、埼玉県行田市の「きっず’な小見house」を訪問しました。
同こども食堂には、ALIAこども応援プロジェクトを通じて、DAIKEN株式会社よりインテリア畳『ここち和座』が提供されました。

訪問当日は、高齢者向け体操や子どもたちの食事提供が行われており、地域の多世代が自然に集う、温かな空間が広がっていました。インテリア畳の実際の活用の様子や、運営者の方々が日々感じている工夫や課題について、お話を伺いました。

目の前に田んぼが広がる一軒家でこども食堂が開催されています

子どもと高齢者が集う、多世代交流の場

きっず’な小見houseは、もともと個人が暮らしていた住宅を、オーナーの協力を得て地域の4団体が共同で借り受け、世代間交流の拠点として整備してきた場所です。運営の中心となっているのは、長年学童保育や子ども支援に携わってきた 野村昌代さん。
「子どもたちが安心して過ごせる場所をつくりたい、保護者の方が少し肩の力を抜ける時間をつくりたい」という思いから、この家を拠点に活動を始めました。

写真左からDAIKEN株式会社の外山さん、きっず’な小見house野村さんとボランティアのみなさん、一般社団法人リビングアメニティ協会の津久浦さん

伺った当日のスケジュールは、

午前:高齢者を対象とした体操や交流
昼〜午後:子どもが集まり、高齢者と昼食を食べて自由に過ごす
夕方:予約制のお弁当配布

という流れで運営されており、1日に提供される食事は50食ほどになることもあります。

また、別団体によるこども食堂やダンス団体の活動拠点としても利用されており、子ども、若者、高齢者が「自然に一緒に過ごす場」として地域に根づいています。

高齢者を対象にした健康体操
子どもたちは自由時間

インテリア畳がつくる“安心して過ごせる空間”

こども食堂の多くは賃貸物件や公民館を利用しているところが多く、食べこぼしや設備への負担など、日々の運営のなかで気を遣う場面が少なくありません。

野村さんも同じ悩みを抱えており、

・水分を弾き、汚れが染み込まないこと
・拭き取りやすく、清潔を保ちやすいこと
・子どもも高齢者も座りやすいクッション性があること

といった理由から、インテリア畳を希望したそう。

インテリア畳なら、カレーでも安心
次々と入れ替わって順番に食事をします

実際に使ってみると、利用者からは、次のような声が上がりました。

高齢者の方々より
「クッション性があり、長時間座っても楽」「体操のときにも安心して使える」

運営側より
「子どもが食べこぼしてもすぐ拭けて助かる」「賃貸なので“汚したらどうしよう”という不安が軽減した」

もともと純和風の家に、おしゃれな色味のインテリア畳が加わったことで、空間全体が現代的な雰囲気になり、“子どもも大人も安心して過ごせる居場所”としての機能が高まったことが伝わってきました。

高齢者の方にも好評のインテリア畳

運営を続けるうえでの工夫と課題

意見交換の時間をいただき、野村さんから日々の運営において感じている課題や、今後の展望について率直なお話を伺いました。

1. 無料で続けるための負担

食事の提供はすべて無料で行われていますが、物価高騰の影響を大きく受け、食材費の負担増、水道光熱費の上昇、大量調理に必要な炊飯器などの設備不足など、運営にかかる負担は決して小さくありません。農家の方から野菜の寄付を受けることも多く、地域の支えによって成り立っている一方で、より安定した運営の仕組みづくりが必要な状況です。

2. ボランティアの継続的な確保

きっず’な小見houseでは、これまでにも、さまざまな背景をもつ若者がボランティアを通じて成功体験を得る機会がありました。片付けや調理補助など小さな役割を担うことで、徐々に自信を取り戻す事例も生まれています。しかし、若い世代のボランティアを安定的に確保するのは容易ではなく、「人のつながりをどのように広げていくか」も重要なテーマとなっています。

大きな寸胴鍋で50人分のカレーを煮込みます
限られた調理スペースを工夫して活用

見学を終えて

今回の訪問では、インテリア畳が場の雰囲気を変え、子ども・若者・高齢者が安心して集まれる空間を支えていることがわかりました。
同時に、無料で続けることの難しさや、設備・人材などの課題についても、地域の現場ならではのリアルなお話を伺うことができました。

ALIA事務局・DAIKEN株式会社の参加者からは、「畳の機能性が、居場所づくりにとても役立っていることを実感した」「現場の声を踏まえ、今後も地域の場に寄り添った支援を検討していきたい」といった感想が寄せられました。

むすびえはこれからも、ALIAや会員企業のみなさまとともに、地域の中で子どもや若者が安心して過ごせる居場所づくりを応援してまいります。



取材日:2025年11月22日

訪問先:きっず’な小見house(埼玉県行田市)

訪問者:一般社団法人リビングアメニティ協会(ALIA)/DAIKEN株式会社