感染症対策みんなの事例紹介

<事例2>人の気持ちが離れない秘訣は「ライブ感」 兵庫県 東灘こどもカフェ 中村保佑さん

再開したくても、人が一旦引いてしまうとなかなか元のようには再開できないこともあるでしょう。コロナ禍で活動を休止するとスタッフの間に迷いや温度差も生じますね。私たち東灘こどもカフェは、活動を開始して10年が経過します。活動地域は神戸市東灘区とその周辺地域です。阪神淡路大震災での避難所の炊き出し活動を引き継ぎ、現在はこども食堂として活動を続けています。会員は延べ900名になりました。

10年も人が途切れないのは、いつ来ても何か変化がある「ライブ感」と「ゆるやかな関係」のおかげ。来てくれる人が楽しめるように、居場所には常に変化をつけるように工夫しています。今月はピアノの音が聴こえる。来月来たら壁に子どもたち手製の掲示物が見られる。居場所にこうした変化をつけることで、次も楽しみだな、また来たいなという気持ちが湧くのだと思います。また、ゆるやかな関係は継続の基本理念です。あまりにも強い関係は、夫婦でもすぐ切れます!居場所運営では、地域家族的なゆるやかな関係=ゆるやか感を大切にしています。

感染対策のルールも、スタッフが規則や縛りを子どもに与えるよりも、子どもたちが話し合いで決めたことを自分たちの手で掲示するほうが、やはりその後も守ってくれますね。

コロナ禍で継続的に来てもらうにはどうしたらいいか。子育てサポーターがアイデアを出し合いました。「子どもはスタンプが好き。お菓子があると嬉しい!」。そこで2020年3月2日から、子どもが小さなボランティアをするとスタンプ1つとお菓子がもらえる「スタンプカード」をスタートしました。小さなボランティアとは、家の手伝い、交流居場所の掃除、金魚・鈴虫の餌やり、商店街のゴミ拾い等々。10個スタンプがたまると、景品と「よい子で賞」の表彰状がもらえる仕組みです。これが大変な人気です。これまで1年9ヶ月で420名の子どもが登録。活動に10回以上参加した子どもが75名です。家庭で親や兄弟ともあまり口をきかない子がここへ来ると何らか手伝いながら話したり生活のリズムをつかむことができたというお話も保護者から耳にしています。

食材パントリーも、子どもたちが配布の準備をします。こういった活動を通した子どもたちの変化、つまり成長に触れることができるのも私たちの楽しみになり、大人たちも継続的に通う流れが生まれています。

<団体基礎情報2021年12月現在> 開催状況: 1.こども食堂月1回日曜日昼食こども10名 2.こども食材パントリー(イ)毎日こども約7~10名(ロ)コロナ期困った子育て世帯へ毎週約100世帯 3.こども料理教室月1回火曜日4時からこども8名 4.こどものおにぎり弁当毎日5つ提供 スタッフ:15名 代表:中村保佑 連絡先:090-7701-6393 年間予算規模:約400万円 収入源:会員年会費、居場所バザー販売、年間いろいろな事業、講座・イベント収入、助成金、寄附、お手伝いセンター、居場所飲食収入

※この記事は、2021年度にむすびえが主催した感染症対策プロジェクトのイベントご登壇者のお話を元に、追加取材した内容を加筆編集したものです。

この事例webページは、「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン 居場所を失った人への緊急活動応援助成」を受けて実施した活動の一環で制作しております。

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